英、ブレグジット後は高技能の移民を優先か 移民助言委が提言

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 9月18日に発表された報告書は、イギリスのEU離脱後、欧州連合(EU)加盟各国の市民が世界のその他の地域の人々よりもイギリスへの出入国において優遇されるべきではない、と提言している。

 現在、EUは移動の自由を定める規則を設けているため、EU加盟各国の市民はイギリスでの居住、労働が許可されている。しかし2019年3月にイギリスがEUを離脱した後には、この規則が適用されなくなる。

 イギリス政府は、今後の政策策定の参考とする目的で、英政府の諮問機関、移民助言委員会(MAC)にEU諸国からの移民による影響を報告書にまとめるよう依頼した。

 同委員会は、「移民の影響は、彼らの技能、雇用状況、年齢、公共サービスの使用状況といった要因によって変わってくるが、根本的に国籍はそうではない」と発表した。

 アラン・マニング議長は、移民問題をイギリス・EU間の離脱交渉と切り離して考えた場合、「EU市民に対する出入りの優遇を撤廃した上で、すべての移民を管理するシステムへと移行するよう提言した」と述べている。

 イギリスのテリーザ・メイ首相率いる保守政権は、EU離脱後、イギリス国民にも同様の権利を与えることを条件とし、EU市民に対しイギリスへ優先的に出入りできる権利を与える制度については否定していない。

 経済の専門家で構成される移民助言委員会は、高度または中程度の技能を持つ労働者に対しては制限を撤廃し、技能の低い移民の出入りを制限することで、技能を持つ移民が優先的にイギリスへ流入できるようにすべきだとしている。

 委員会はまた、28ヶ国が加盟するEUからの離脱を支持する一部の人々の主張に反し、移民の流入が、イギリス人労働者の今後の雇用状況や賃金に及ぼす影響はほとんどないとしている。

 2004年に東ヨーロッパの元共産主義国8ヶ国がEUに加盟して以降、EU諸国から100万人超がイギリスに移住した。

 委員会の報告書では、EU加盟各国にアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーを加えた欧州経済領域から流入した移民が経済に及ぼす影響は「他の変化に比べれば、程度は低い」としている。

 報告書によると、イギリスがEU離脱の是非を問う投票を行った2016年以降、ポンドの価値は10%超低下している。それは2004年以降に欧州経済領域から流入した移民が、国民の賃金及び雇用機会に及ぼした影響以上のものだという。

 移民問題については、イギリス国内で意見が対立している。2016年の投票でEU離脱を支持した国民の多くが、新たに流入する移民の数が減ることをその理由としていた。保守政権は、移民の数を1年あたり正味100,000人未満とし、現在の水準の半分を切るという目標を何度も掲げてきたが、長らく達成できていない。

 9月18日に発表された報告書は、多数の移民反対派が唱える、移民が社会及び経済に悪影響を及ぼすという主張を否定した。

 報告書によると、欧州経済領域から流入した移民は、還元される恩恵以上の税金を支払っており、医療制度については、制度の利用度よりも労働者としての貢献度の方が高い上、イギリスで生まれた子供たちの今後の教育に対しても害を及ぼすことはない。また、移民の流入と犯罪率に関連性はないとしている。

 経済分野のシンクタンク、「リゾリューション・ファンデーション」は、報告書の提言は、農業、食品製造業、ホテル業、家事代行・清掃業といった業界のハードルを上げることで、技能の低い移民の流入を効果的に食い止めるものだとしている。

 同団体の上級経済アナリスト、スティーブン・クラーク氏は、報告書の提言が「政府に承認されれば、一世一代の大改革となるだろう」と述べている。

By JILL LAWLESS, Associated Press
Translated by t.sato via Conyac

Text by AP