フランス環境相、ラジオ生放送で突然辞任を表明 「世界中が努力不足」
「自然環境の悪化に対して最も効果的な対策を打ち出せる世界一の国家」というフランスの地位を誇示したいと望んでいたマクロン大統領にとって、ユロ氏を大臣として起用することは見事な閣僚人事の戦術だった。同時にマクロン大統領は、気候変動に対するドナルド・トランプ大統領の姿勢に拮抗したいと考え、ユロ氏を環境相に擁立していた。
突如、ユロ氏が辞任したことでマクロン内閣は人事改組を余儀なくされ、マクロン大統領が掲げた「地球を再び偉大に」という確約に疑念が生じている。マクロン大統領の執務室は内閣人事の改造が行われることを発表したが、同大統領は今週、デンマークとフィンランドを訪問中には再組閣は実施されないであろうと語った。
マクロン大統領はデンマークにおいて、フランス政府は「環境保護問題については他のいずれの国家よりも多くの政策を施した」と語り、政府を擁護した。そして、「環境破壊との戦いは一朝一夕にして勝利を収めることができるものではない」と述べ、忍耐を呼び掛けた。
ユロ氏は、自分の辞任によってフランスの政治家や民衆が一念発起して行動を起こすことを望んでいると希望を語り、その行動を「動員行為」と呼んだ。
ユロ氏は、「私はもう信じていない。地球はまるでオーブンのように温暖化し、天然資源は枯渇し、生物多様性は山の雪が融けていくように失われ、環境保護の問題は必ずしも優先的な課題として取り扱われているわけではない」と言った。
そして、突然の辞任表明に際し、マクロン政権に対してうわべだけの賛辞を贈った。
「フランスは他の多くの国々よりもより多くの施策を講じた。どうか私にこの施策が十分であると言わせないで欲しい。フランスの施策はまだ十分とは言えない。ヨーロッパの施策もまだ十分とは言えない。世界全体の環境保護の施策もまだ不十分だ」とユロ氏は述べた。
決して経験豊富な政治家ではなかったユロ氏だが、自身が長年警鐘を鳴らしてきた環境に関わる懸念を実際に払拭できることを夢見て、環境相という役割を引き受けた。ユロ氏は、「国務大臣」という特別な肩書を与えられたわずか2人しかいない大臣のうちの1人だった。もう1人は、警察やフランス国内のテロ対策部隊を率いる内務大臣である。
ユロ氏はフランス国営ラジオの番組で、フランス政府は環境破壊を逆転させるための長期的施策の必要性よりも、短期的に加わる圧力への対処を優先したと語った。同氏は自身を「独りぼっち」であると形容し、「私は多少なりとも影響力を持っているはずなのに、何の力も武器もない。私を助けてくれるはずの部隊はどこにいる?誰が私の背後にいてくれるというのだ?」と問いかけた。
ユロ氏は、数ヵ月もの間、自らの進退について熟慮していたが、我慢の限界を超えたきっかけは8月27日に行われた狩猟に関するマクロン大統領との会議だったと述べた。ユロ氏は、狩猟を支持するロビイストが招待されていないにも関わらず会議に参加しているのを見て、この有様がフランスの国家権力の回廊に与えるロビイストの影響力を象徴していると悟り、激しく幻滅した。
マクロン政権に批判的な立場をとる者たちは、ユロ氏の辞任劇に乗じ、ここ数ヵ月間支持率が低下しているマクロン大統領をここぞとばかり批評する攻勢を仕掛けた。
左翼の指導者であるジャン=リュック・メランション氏は、「マクロニズムの崩壊が始まった」とツイートした。
By JOHN LEICESTER, Associated Press
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