ジンバブエ、大統領選の結果発表遅れ暴動 「ムガベ後」初で混乱
8月1日、ジンバブエの首都ハレラで暴動が起き、市民と警官や軍隊と衝突する騒ぎになった。ジンバブエでは、長きにわたって国の指導者であったロバート・ムガベ元大統領が失脚したことにより、初の大統領選挙が実施されていたが、その開票結果発表が遅延していることから、野党支持者が抗議活動を行ったのだ。
治安部隊が銃や放水銃、催涙ガスなどで制圧にかかると、抗議者らは車を燃やし、首都ハラレの頭上に現れたヘリコプターに石を投げつけた。デモ隊の近くには、倒れて動かなくなった人もいる。
装甲車に乗って兵士や武装警官が現場に急行した。
ジンバブエ選挙管理委員会の事務所付近では、抗議者がタイヤや少なくとも2台の車を燃やし、黒い煙が上がっている。同委員会は7月30日に行われた激しい大統領選挙戦の結果発表を先延ばしした。今回の選挙では、エマーソン・ムナンガグワ現大統領と野党リーダーのネルソン・チャミサ氏が白熱した戦いを繰り広げていた。
委員会は、投票結果の大部分をすでに把握しているとしながらも、発表は2日の「いつか」にすると述べている。まずは23名に及ぶ候補者の、代理人すべてに確認をとる必要があるという。
選挙管理委員会は、与党ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU-PF)が議会議席の過半数を獲得したと述べた。
元リベリア大統領でアメリカの選挙監視団のトップであるエレン・ジョンソン・サーリーフ氏は、「大統領選挙が遅れれば遅れるほど、選挙プロセスに対する国民の信頼は揺らいでしまう」と話す。
欧州連合(EU)監視団の一員であるエルマー・ブロック氏は、「大統領選挙結果の発表が遅れれば遅れるほど、信頼の欠如、という問題が浮上してくる」と述べた。EUおよびアメリカの監視団は、できるだけ早く大統領選の結果を発表するよう要請した。EUの監視団は、大統領選の集計が最初に実施されたにもかかわらず、結果発表が最後になっている理由について、回答を求めている。
EUの監視団によると、今回の選挙戦が自由で公正なものであったか、欧米諸国の代表機関などの団体が評価を行ったが、その初回の結果で「深刻な懸念」が表明されているという。かつて栄えたこの国が、国際社会による制裁を解除されるには、ここで高評価を得ることが不可欠だ。
EU監視団は「国家資源の乱用、強制と脅迫の事例、従来の指導者による党派行動、国家メディアによる過度の偏見」を指摘し、選挙に関して「真の平等は達成されなかった」と述べた。選挙キャンペーンおよび投票は、以前と異なり、概ね平和的だったという。
反対派は、投票結果が法律で定められている「5分の1以上の投票所で掲示」という要件を満たしていないとして、不正行為だと主張している。
ムナンガグワ政権は、チャミサ候補およびその支持者が勝利宣言を行ったことが暴力を誘発した、と非難した。内政大臣のオバート・ムポフ氏は、「私も、そのような個人や団体に対し、誰もが法の下にいるのだと警告する」と述べた。
今回の暴動は、このアフリカ南部の国家が、ムガベ氏の長期政権時代の弾圧によって衰弱し、緊張感が蔓延していることを再確認させた。94歳の元大統領は、1980年に少数派の白人による支配から独立して以降、昨年11月、軍と与党によって退陣に追い込まれるまで、政権の座を守り続けたのだ。
ムナンガグワ氏はムガベ政権時代に副大統領を務めたが、その後ムガベ氏と袂を分かち、政権が倒れた後に大統領の職を引き継いだ。ムナンガグワ氏は選挙戦における自らの形勢について「非常にポジティブ」だったと言い、国民に対して、公式発表を待つよう促した。
弁護士兼牧師で、野党である民主変革運動を率いるチャミサ氏は、現場の代理人から集めた結果を根拠に、自らの勝利を主張している。
「我々は一般投票に勝利し、それを守っていく!」とチャミサ氏はツイートしている。
ジンバブエで発生した暴動により、「平和的な選挙により、ムガベ政権で数十年続いた経済的政治的停滞から抜け出せる」という国民の願いは打ち砕かれてしまったように見える。この国は選挙における暴力と操作の歴史に取りつかれ、国民の信頼が希薄だということを表している。
By CHRISTOPHER TORCHIA and FARAI MUTSAKA, Associated Press
Translated by isshi via Conyac