分析:金正恩訪中の意味 改めて浮き彫りになる中国の存在感
「中国との従来どおりの関係を維持することがアメリカに対する強い圧力になると、北朝鮮ははっきりと確信しています」そう語ったのは、ソウル・東国大学の北朝鮮専門家、コ・ユファン教授だ。「韓国・アメリカとの会談をめぐる情勢が北朝鮮にとって有利な方向に傾いたとしても、北が依然として中国の援助を必要とすることには変わりありません。また、もし逆に情勢が不利になった場合においても、北朝鮮は間違いなく中国を頼ることになるでしょう」。
また今回の訪中は、いくつかの厳しい現実を北朝鮮の側でも自覚していることの現れと言えるかもしれない。
昨年、異常とも言えるほど挑発的な核・ミサイル実験を繰り返したのち、今年になって北朝鮮が韓国・アメリカと外交折衝を求めてきた背景には、少なくとも部分的には、一連の軍事実験の結果として国際社会から課せされた厳しい経済制裁で疲弊した国内経済を改善させる狙いがあるものと見られている。また、北朝鮮の挑発行為によって、中朝関係は大きく損なわれた。
中国は、1950年から53年にかけての朝鮮戦争中に築かれた北朝鮮との同盟関係をその後数十年にわたって維持してきた。しかしその中国が今回、北の核開発計画に対する国際社会の包囲網において中心的な役割を果たし、さらなる制裁強化のための国連決議にも賛成した。この、ここ数ヶ月にわたる北への石油輸出制限を含めた中国の強硬姿勢こそが、今回北朝鮮が外交的解決を求めて動かざるをえない状況をつくった決定的な要因と見ることもできる。
中国政府としては、アジアでの影響力をめぐってアメリカと争う上で、「中国はアジア地域の平和と安定の護り手であり、世界外交におけるその重要性はますます高まっている」と世界から見られることを強く望んでいる。
まだ同時に、中国は自国の利害もしっかりと計算している。つまり中国は、すぐそばの隣国に新たな核の脅威をかかえることを好ましく思わないが、だからと言って、自国と韓国(アメリカの同盟国)との間の緩衝地帯の役目を果たしてきた北朝鮮の政権崩壊を望んでもいないということだ。
中国はこれまで、北朝鮮、アメリカ、韓国、日本、ロシア、そして中国から成る6ヶ国協議の枠組みでの対話の復活と、韓国・アメリカによる軍事的挑発の中止、および北朝鮮の核・ミサイル開発の中断を、長期にわたって主張し続けてきた。
もし仮に北朝鮮と韓国・アメリカとの首脳会談が決裂すれば、北朝鮮はふたたび挑発的な核開発・ミサイル実験を行う方向に舵を切る可能性がある。
その場合には、北朝鮮は中国に対し、将来にわたる継続支援へのコミットメントを要請する可能性が高く、少なくとも、仮に北朝鮮が核・ミサイル実験を再開した場合において、中国がさらなる経済制裁によって北朝鮮に大きな打撃を与えることはないという確約を求めるだろう― ソウルの牙山(アサン)政策研究所の客員研究員ドゥ・ヒョンチャ氏は、そのように分析した。
By KIM TONG-HYUNG, Associated Press
Translated by Conyac
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