分析:金正恩訪中の意味 改めて浮き彫りになる中国の存在感
北朝鮮の金正恩委員長が北京を電撃訪問したことによって、過去数ヶ月にわたって吹き荒れた激しい外交合戦の中でにわかに忘れられていた事実があらためて浮き彫りになった。つまりそれは、北朝鮮の核開発を放棄させる取組みにおいては、中国が果たす役割が依然として大きいということだ。
その影響力がどの程度かは議論の余地がある。だが少なくとも今回の訪中で、ここ最近の中朝間の不和や、敵国のアメリカ・韓国と首脳会談を行うという電撃発表にかかわりなく、北朝鮮の若き指導者は、その唯一の強力な味方である中国を決して忘れてはいないことを示した。何と言っても中国は、崩壊した北の経済を浮揚させるのに必要不可欠な貿易、援助、外交的支援を北に提供し続けている。
このように中国に深く依存した北朝鮮が、西側諸国との主要な折衝に先立って中国政府と協議するのは当然の流れとも言える。
金委員長としては、2011年の就任後初めての海外訪問によって、北朝鮮が韓国・アメリカ両政府との折衝を通じて地域政治に大きな変化をもたらそうというこの時期に、中国が単なる傍観者になりつつあるという懸念を払拭する意図があったと考えられる。また、中国との緊密な関係をアピールすることで、アメリカ・韓国の両国に対し、「たとえ今後行われる両国との首脳会談が決裂しても、北には別の選択肢がある」というメッセージを送る狙いもあった。
金委員長と習首席の会談は、金正恩政権が韓国・アメリカとの折衝を試みるよりもずっと以前の段階で計画されていた可能性もある。ソウルにある慶南大学極東問題研究所のアナリスト、キム・ドンヨプ氏は、今回の中朝首脳会談は、それぞれ自国内での権力掌握を完了し、対外的な不安要素を取り除くことに焦点を移している二人の指導者の間で行われるものであり、十分に予測できた事態だと述べた。
「では、金正恩委員長の次なる狙いは何でしょう? ロシアでしょうか?」と、アナリストのキム氏は問いかけた。
北朝鮮の朝鮮中央通信は、「両首脳は朝鮮半島における相互関係と安全保障環境に関する突っ込んだ意見交換をした」と報道した。また同通信は、金委員長は、古くからの同盟国である中朝の連帯と協力を強化し、両国関係を次のステップに進めるため、さらに強力な「戦略的対話」と「戦略的・戦術的協力」の必要性を訴えたとも報じた。そのことが具体的に何を意味するかは不明だ。
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