ニュージーランド次期首相にリベラル派アーダーン氏 保守の第3党と連立
【ニュージーランド、ウェリントン・AP通信】 リベラル派のジャシンダ・アーダーン氏が次期首相となり、9年ぶりに保守政権下からの軌道修正が行われる見通しが判明した。
今月20日、少数派のNZファースト党がアーダーン率いるリベラル派の労働党との連立を決断し、約1ヶ月前に実施された国政選挙の帰すうをついに決した。
現在37歳、過去150年における最年少の首相となるアーダーン氏は、フランスのエマニュエル・マクロン大統領やカナダのジャスティン・トルドー首相と並び、世界の若いカリスマ指導者の一人と目されている。
アーダーン氏は、移民の削減、外国人投資家による住宅取得の禁止、多くの安価な住宅の建設を目指すとともに、医療・教育関連や汚染水路の清掃に関する支出の増加を政策に掲げている。
NZファースト党首のウインストン・ピータース氏は、同党が現保守派の国民党政権と組んで「現状の修正」を目指すか、変化の切符を手にするかの選択だったと述べた。
リベラルの緑の党も連立政権を支持するが、政権には加わらない。同党は同20日午後、労働党との合意を追認した。
アーダーン氏は、自然環境を保全し、社会の最弱者をケアする政府を目指すとし、それは「名誉で光栄であることに間違いない」と述べた。
退任が決まったビル・イングリッシュ首相は感傷的な様子で、落胆したのは事実だが、自身が国をこれまで良い方向に導いてきたことは事実であり、ニュージーランドは今後とも多くの可能性を秘めているはずだ、と述べた。
アーダーン氏の評価について聞かれたイングリッシュ首相は、その急激な躍進に触れた。
「わずか10~12週間前には低迷する一野党の副党首に過ぎなかったことを考えると、実に驚くべき成果だ」
9月23日の国政選挙では圧倒的勝者が生まれず、ニュージーランドの国民はリーダーが選ばれるのを待ち続けていた。
結果の判明後、NZドルは約2%安の約0.70米ドルへと大幅に下落した。
ナショナリズムや折衷主義を掲げるNZファーストのピータース氏は、移民の大幅減少や外国人による農地取得の禁止を求めている。ピータース氏は、イングリッシュ首相率いる国民党による年金支給年齢の引上げ案や、労働党による一部の水源利用者に対する課税案に反対していた。
労働党との連立政権に加わることにより、NZファーストは政策の譲歩を引き出すとともに数席の閣僚ポストを獲得するものと見られる。アーダーン氏は、数日中に詳細を発表すると述べた。
一方ピータース氏は声明を発表し、資本主義のあるべき姿へとどう変わるべきかについてのNZファーストのビジョンが決定に影響した、と述べた。
「ニュージーランド国民の圧倒的多数が、今日の資本主義は友人ではなく敵であると考えるようになっている。それは、あながち間違いではない。そこで、資本主義が再び信頼に足る、人間らしい顔つきを取り戻さなければならないと考えるようになった」とピータース氏は語った。
イングリッシュ首相は選挙運動期間中、国民党が経済成長や財政黒字の拡大を通じて国に利益をもたらしたと強調した。
ニュージーランドの比例代表制では、大政党が政権与党になる上で小政党との連立が必要になるケースが多い。
政権は、全120議席の過半数に相当する61議席を最低限確保しなければならない。国民党が56議席、労働党が46議席、NZファーストが9議席、緑の党が8議席をそれぞれ獲得していた。
By NICK PERRY
Translated by 平湊音