イスラエル首相長男が反ユダヤ主義投稿 一家への風当たりますます強く

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【エルサレム・AP通信】 今月10日、イスラエルの政治主導者たちは、父親への批判者を標的にした反ユダヤ主義的な風刺画を投稿したことで、ベンジャミン・ネタニヤフ首相の長男を強く非難した。

 ヤイール・ネタニヤフ氏のミーム(ネットで流行する画像ネタ)は、米国のユダヤ人大富豪ジョージ・ソロス氏とナチスドイツがかつて使ったユダヤ人の戯画に似た人物が、前首相エフード・バラック氏と、汚職疑惑のあるネタニヤフ首相を辞職させようとする抗議運動リーダーの2人を操っているところを描いている。その投稿はクー・クラックス・クラン(KKK、アメリカの白人至上主義秘密結社)のリーダーのデビッド・デューク氏や、他の反ユダヤ主義の人間にシェアされた。

 野党のイスラエル労働党議長のアビ・ガベイ氏は、軍のラジオ番組で、その投稿は「想像し得るあらゆる一線を超えている」と語った。また、首相の息子がクー・クラックス・クランのリーダーが同意するような風刺画を投稿したのは、イスラエルとユダヤ人にとって、「大変悲しい」日だったとも言った。バラック氏はツイッターで、首相公邸に住み国が雇った運転手とボディガードを満喫しているヤイール・ネタニヤフ氏が、自宅でそのようなイデオロギーを吸収したのかどうかと不思議に思うと述べた。

「何だろう? 遺伝的なものか、自然になった心の病だろうか? それは問題じゃないが。どちらにしても、我々は彼にボディガードと運転手じゃなくて、精神科医を雇うべきだ」とバラック氏は書いた。ヤイール・ネタニヤフ氏は、バラック氏を高齢者介護が必要な酔っ払いと呼んでそれに応えた。

 26歳のヤイール・ネタニヤフ氏は、納税者の負担で特権的な生活を送りながら、下品なソーシャルメディアへの投稿をしたことで、批判を巻き起こしていた。

 ネタニヤフ一家は、大量の汚職告発に直面している。首相は、メディア、国際ビジネス、ハリウッドの経営者や役員たちとの繋がりが問題になっている。彼の仲間は20億ドルにのぼるドイツ製潜水艦購入にまつわる利害の衝突問題に関連して、厳密な調査を受けている。イスラエルの司法長官は、首相の妻のサラ氏を、膨張した家計費に関する詐欺の疑いで起訴するつもりだと語っている。

 ヤイール・ネタニヤフ氏は、伝えられるところによれば、彼の父親の攻撃的なソーシャルメディアプラットフォームで、主導的な役割を果たしてきたとのことだが、彼もまたスキャンダルに見舞われている。オーストリアの大富豪であるジェームス・パッカー氏が、ヤイール氏にテルアビブ、ニューヨーク、コロラド州アスペンなどの高級ホテルに何日も滞在させるなど、贈り物を気前よく与え、なおかつ自分のプライベートジェットを使わせたり、以前の婚約者であるマライア・キャリー氏のコンサートチケット数十枚を供与したとされている。

 警察はこれらが賄賂にあたるかどうか決定を下そうとしている。というのも、パッカー氏は脱税の目的のために在留資格を得ようとしているからだ。

 当の首相は、いかなる犯罪も無いと繰り返し否定し、そういった非難は、敵対するメディアによる彼と家族への魔女狩りだと評している。彼は、ますます大きくなっている退陣の呼びかけに抵抗している。

Translated by Conyac

Text by AP