“大戦の反省、戦後70年談話に”と安倍首相 謝罪の有無に海外メディア注目

安倍首相

 安倍晋三首相は5 日、第二次世界大戦後70周年を記念する談話に、「大戦への反省」を盛り込むつもりだ、と述べた。

 年頭の記者会見で、半年以上も先に発表される予定の談話について触れた安倍首相だが、国内のみならず複数の海外メディアもこれを取り上げ、注目度の高さがうかがわれる。

◆新たな談話を、と首相
 第二次世界大戦終戦から70周年目の年に、アジア・アメリカの政治家は、安倍首相が日本の戦争の責任について、どのような発言をするか大きな関心を持っている、とAPは報じる。

 安倍首相は5日、安倍内閣としては今後も、村山談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいくとし、以下のように続けた。

「戦後70年の節目を迎えるに当たりまして、安倍政権として、先の大戦への反省、そして戦後の平和国家としての歩み、そして今後、日本としてアジア太平洋地域や世界のために、さらにどのような貢献を果たしていくのか。世界に発信できるようなものを、英知を結集して考え、新たな談話に書き込んでいく考えであります」

 しかし一方で、謝罪の言葉を盛り込むかについては触れなかった、とAPは指摘している。

◆世界が日本と隣国の関係を注視
 終戦から70年が過ぎたが、第二次世界大戦の傷は、いまだに、アジアの国々の関係に悪影響を与えている。特に日本と中国・韓国だ、とAPは報じている。終戦70周年記念の行事が世界中で行われるだろう。しかし、それは、過去を忘れまいとするだけのものではないという。行事の主旨と各国の首脳によって言葉を選んで話されるのは、日本と隣国が現在も緊張関係にあるという現状を示唆するものになるだろう、と同メディアは海外の目が日本に向けられていることを伝えている。

 アメリカがこれまで大きな力を有していた海域で、強大化を続ける中国軍が影響力を強めており、アメリカはこれ以上の緊張を恐れている、とAPは指摘した。米国務省のジェン・サキ報道官は、「アメリカは、日本に、話し合いを通じて友好的な方法で隣国との歴史をめぐる問題を解決するよう促す」(AP)と述べ、日本が戦時中の軍の行為に関して、1990年代に行った謝罪は、近隣諸国との関係改善の為の努力として、重要な出来事だったと釘を刺した。

 今回の終戦70周年という節目は、日本が中国・韓国との関係を再構築するのにとても重要な機会だ、とブルームバーグはみている。安倍首相が2012年12月に就任して以来、尖閣諸島の領有権問題、歴史認識などで、関係が凍りついた。さらに、防衛費の予算増額を含め、武器輸出の解禁、集団的自衛権行使を容認する平和憲法の再解釈などが、関係悪化に拍車をかけた。

 中国の習近平国家主席は先月、戦争に関連した行事に主席し、「歴史を忘れることは裏切りで、犯罪を否定することはまた過ちを犯すということだ」と述べた。

 中国外交部の華春瑩報道官は5日、「中国は日本が言葉に違わぬ行動をとるよう期待している。侵略の歴史に正直に向き合い、歴史問題に関して全ての厳粛な発言と約束を守るよう願っている」(AP)と述べた。

関心が高まる安倍首相の今後の言動
 朝日新聞は3日の社説で、安倍首相は、戦争責任に向かい合う必要があると主張した。「『未来志向』がいけないというのではない。だが、過去と真剣に向き合ったうえでのことでなければ、被害を受けた側からは『過去は忘れようと言っているのか』と受け取られるおそれがある」(朝日新聞)

 上智大学の中野晃一教授は、「安倍首相が村山談話を’安倍談話’として、言葉巧みに置き換えてしまおうとしているのではとの懸念が高まっている」(AP)と指摘した。

 また、天皇陛下は新年にあたって文書で、戦争の過去を忘れない事の必要性を強調する感想を述べられた。

Text by NewSphere 編集部