2分でわかる共産党の政策:安倍政権の暴走ストップ

12月14日に投開票される衆院選に向け、NewSphereでは各党の政策を深く知るため、1)経済成長、2)財政戦略、3)外交・安全保障の観点から、7点質問を行った。共産党の回答は下記の通り(下線は編集部が付与)。

◆共産党の回答
1)人口減少が進む中、無理に経済成長を追うべきでないとの思想も出てきています。成長と平等、どちらに重点をおきますか。

成長と平等の好循環をつくりだすことです。

アベノミクスや小泉「改革」など、これまでの「規制緩和」中心の成長戦略は、格差と貧困を拡大してきました。この結果、国民のふところが冷え込み、経済は成長せず、税収も増加せず、社会保障予算が削減され、格差と貧困をさらに増大させるという悪循環を繰り返してきました。

私たちは、285兆円まで積み上がった大企業の内部留保を一部活用して、大幅な賃上げと安定した雇用を増やすなど、貧困と格差是正にむけた改革を提案しています。こうした改革で、生活を安定化させ、消費を活性化させ、先進国では普通の「名目で2%」程度の経済成長が実現できれば、税収も増加し、社会保障を充実させていくことができます。これまでの悪循環を断ち切り、成長と平等の好循環を作り出す改革が必要です。

2)経済成長のための政治の役割について、規制緩和/内需拡大など方針を伺えますか。4年以内に実現したい政策を挙げてください(3点まで)

内需拡大の視点から、暮らし第一に、経済を立て直す3つの提案をしています。
1.大企業の巨額の内部留保のほんの一部を使うだけで、大幅な賃上げと安定した雇用を増やすことができます。そのために政治が行うべきことは、賃下げと低賃金労働、不安定雇用を増やしてきた労働法制の規制緩和を根本から見直し、人間らしく働ける雇用のルール―「サービス残業根絶法」や「ブラック企業規制法」など―をつくることです。

2.国民生活の基盤である社会保障の充実は、家計をあたため、地域に新たな仕事と雇用を生み出します。年金削減のストップや医療費窓口負担の軽減、認可保育所の大幅増設など、社会保障の連続削減ストップ、暮らしを支え、人間の尊厳を守る社会保障充実の政策です。

3.地域経済を担う農林水産業と日本経済の根幹であるや中小企業を振興することが不可欠です。農業を壊し、国民皆保険制度を壊し、地域経済に大打撃を与えるTPP交渉から撤退し、農業の安定経営に資する価格保障所得補償制度の抜本的強化や技術開発などの中小企業支援強化です。

3)社会保障制度の維持が危機と指摘されて久しいです。国際的にみると日本の制度は「低負担、中福祉」と言えますが、今後は「低負担・低福祉」、「高負担・高福祉」、どちらを目指すべきだと考えますか

負担の在り方が問題です。「能力に応じた負担」原則を貫くことで、必要な福祉を、担える負担で受けられるように改革します。

福祉については、年金削減のストップや医療費窓口負担の軽減、認可保育所の大幅増設など、社会保障の連続削減ストップし、暮らしを支え、人間の尊厳を守るために、社会保障を充実させていくべきです。その制度維持のためには、所得の低いほど負担が多い逆進性をもつ消費税に頼るのではなく、「能力に応じた負担」の原則に則った財源を当てます。「能力に応じた負担」原則の徹底で、「低負担・高福祉」の人も、富裕で、福祉をほとんど必要としない場合は、「高負担・低福祉」となる人も出てくるでしょう。

4)上記の経済、財政政策に関し、財源をどのように捻出しますか。特に消費税に対しては、いつまでに何%まで増税すべきと考えますか

日本共産党は、財源を消費税にたよらずに確保する財源提案-「消費税にたよらない別の道」-を提案しています。

消費税10パーセントへの増税をきっぱり中止します。

具体的には、富裕層や大企業への優遇をあらため、「能力に応じた負担」の原則をつらぬく税制改革で20兆円、大企業の内部留保の一部を活用し、国民の所得を増やす経済改革による税収増で20兆円、あわせて40兆円を消費税にたよらず確保します。

5)2017年に消費税増税を行う場合、どうやって悪影響をおさえますか(軽減税率、給付など)

増税の悪影響は避けられません。増税そのものを中止すべきです。

6)現時点で、日本の外交における最大のリスクは何だと考えていますか。そのための対策はどうあるべきと考えていますか

安倍首相の暴走が最大のリスクです。

米議会調査局リポートは、安倍首相を「強力なナショナリスト」とし、「性奴隷や歴史教科書、靖国神社への参拝」などでの対応が、アジア諸国やアメリカから強い懸念をもって見られていると指摘しています。

戦後の国際政治は、日独伊がおこなった戦争が不正不義の侵略戦争だったということを共通の土台にしています。安倍首相が靖国神社参拝などこの土台を否定する暴走をすれば、国際的な孤立の道に転落し、日本外交そのものが成り立たなくなります。

7)4年以内の憲法改正は必要でしょうか。必要な場合、どのように国民に必要性を説こうと考えていますか。

必要ありません。

いま、北東アジアにはさまざまな緊張や紛争の火種があり、日本は、憲法9条の精神に立った外交戦略を確立することがなにより求められています。もっぱら軍事で構えたら、「軍事対軍事」の悪循環に陥ってしまいます。

9条だけではありません。日本国憲法の先駆性は、生存権を定めた25条、幸福追求権をうたった13条をはじめ、日本国憲法は30条にわたって、世界でも先駆的で豊かな人権条項をもっています。日本共産党は、憲法の前文も含む全条項を厳格に守り、憲法の平和・人権・民主主義の原則を国政の各分野に生かします。

◆編集部の補足
丁寧な回答をいただいた。

共産党は、格差改善が経済成長につながる、という思想のようだ。大企業の内部留保活用で賃上げ・安定雇用を実現→消費活性化→安定経済成長というシナリオを描いており、自民や維新とは対照的だ。

社会保障については、低所得者には低負担でも手厚く、富裕層には高負担でも低福祉、という構想のようだ。消費増税は中止し、大企業への優遇税制の撤回、所得税・相続税の引き上げ、富裕税の導入などで新たな財源を確保するという。

外交リスクは、安倍首相の靖国参拝など「暴走」による孤立化を挙げているのが特徴的だ。

Text by NewSphere 編集部