“慰安婦20万人”に根拠なし:米ジャーナリスト報道 一方NYTは右派の朝日攻撃を糾弾

 米ジャーナリストのマイケル・ヨン氏は、戦時中に旧日本軍が20万人の慰安婦を誘拐した、などの韓国の主張に対し、根拠が無いことを指摘した。

◆「米国の著名ジャーナリスト」、米政府の調査をもとに慰安婦の強制連行は事実無根と結論
 ヨン氏とその調査班と産経新聞の取材により、米政府が8年かけて実施した日本およびドイツの戦争犯罪の再調査で、日本の慰安婦にかかわる戦争犯罪や「女性の組織的な奴隷化」の主張を裏づける米政府・軍の文書は一点も発見されなかったことが明らかとなった。

 ヨン氏は「これだけの規模の調査で何も出てこないことは『20万人の女性を強制連行して性的奴隷にした』という主張が虚構であることを証明した」と産経ニュースに語っている。

 記事の筆者である産経新聞ワシントン駐在客員特派員・古森義久氏が、JBpressに書いた記事によると、マイケル・ヨン氏は「米国の著名ジャーナリスト」で、「イラクとアフガニスタンの戦争報道で全米に知られ」ているという。主にブログでの報道を行っているようだ(経済学者の池田信夫氏はTwitterで、「このマイケル・ヨンって別に著名じゃなくて、彼の『記事』もFacebookの投稿だけ」。と書いている。)

 ヨン氏は、Facebookで、自分はアメリカ人であって、慰安婦問題に対して中立的な立場であり、自分の関心は、人道、地政学、および真実の発見にある、と断っている。アジアの国際政治を考える上で、「慰安婦問題が日本、中国、韓国、そして米国までをも巻き込む政治や安保に影響する大きな摩擦要因となっていること」に気づき、慰安婦問題に関心を持つようになった、と古森氏は伝える。

◆朝日新聞への攻撃は、勢いづく右派が行っている?
 一方、3日付のニューヨーク・タイムズ紙は(NYT)、「戦争(の歴史)を書き換えようと、日本の右派がある新聞を攻撃」との見出しの記事を一面に掲載した。その新聞とは、朝日新聞である。

 NYTは、慰安婦問題の報道をめぐり、現在、朝日新聞が、右派の政治家や新聞から盛んに攻撃されていることを紹介する。この攻撃は、歴史修正主義的な意図などから行われている、という論点でこの問題を伝えている。

 91年に韓国在住の元慰安婦の証言を記事化した元朝日新聞記者の植村隆氏が、「売国奴」として右派からの攻撃対象になっている、と記事は伝える。また現在、同氏が脅迫を受けていると伝える。そして「この脅迫は、日本の右派の報道機関と政治家による朝日新聞への露骨で痛烈な攻撃の一環である」と、あたかも右派の報道機関や政治家が脅迫の原因となったかのように述べている。

◆安倍首相が日本の右派全体を勢いづかせている?
 右派政治家の代表格として名前を挙げられているのが安倍首相だ。安倍首相らは、朝日新聞による記事取り消しという機に乗じて、慰安婦問題に対する国際認識を改めようとしている。それはNYTによると、「日本軍が戦争中、何万人という韓国および他国の女性を強制的に性奴隷にしたという、現在国際的に受け入れられている見解」だ。大多数の主流派の歴史家は、慰安婦にするために軍が女性たちを駆り集めた、ということで意見が一致している、と同紙は述べる。

 朝日新聞が、正式に記事を撤回するのをこれほどまでに遅らせたことは、慰安婦問題の識者らを驚かせた、とNYTは語る。朝日新聞社員によると、安倍内閣の閣僚が、それらの記事を用いて同紙記者を非難していたため、理非を明らかにすることで、攻撃が弱まることを期待して、朝日新聞はついに撤回を行ったのだという。

 しかし結果は逆に、非難の嵐を誘発し、歴史修正主義者を勢いづかせることになった、と記事は語る。何十人という女性が証言しているのに、歴史修正主義者らは、慰安婦が強制連行されたと世界が思い込むようになったのは、ただ朝日新聞のせいだと主張する。そのことに海外の専門家は困惑している、と記事は語る。

 法政大学法学部の山口二郎教授(政治学)は、「安倍首相は朝日問題を、他の報道機関を怖気づかせて自己検閲させるために利用している」とNYTに語っている。

 同一トピックに対し、米国内で正反対のアプローチ・報道が行われている。

Text by NewSphere 編集部