憲法9条、ノーベル平和賞最有力? “的中率10%”の平和研究機関が予想

 ノーベル平和賞の最有力候補として、日本国憲法第9条を保持する日本国民が候補に挙がっている。

 平和賞はノルウェーの首都オスロで、10月10日に発表予定だ。

 2013年は、本部をオランダに置く国際機関、化学兵器禁止機関(OPCW)が受賞した。

◆賞授与の好機を逃さぬよう
 毎年ノーベル平和賞の受賞予測を発表しているノルウェーのオスロ国際平和研究所(PRIO)は3日、「憲法9条を守ろうとする日本の人々」が、今のところ最有力だ、と発表した。9条は、日本が他国と交戦状態にならないように縛ってきた憲法のなかの1条だ、とブルームバーグは紹介している。

 ブルームバーグによると、ウクライナで起きていることと、一触即発の東アジア情勢を考慮すると、国同士の戦争は再び起こる可能性がある、とPRIOは見ている。

 また、PRIOのクリスティアン・ベルク・ハープウィケン所長は、世界中の国家憲法のなかでも日本国憲法は独自の価値を持ち注目に値するとしている、と朝日新聞のインタビューに答えている。「中立、不侵略…平和主義など、(国際社会で)最近ではほとんど議論がなされない重要な原則に関心を集めるものだ」(RIAノーボスチ)

 RIAノーボスチは、ハープウィケン所長について、過去10年間の予想で1度予想を的中している、と説明を加えている。

◆日本国憲法第9条
 日本国憲法第9条は、第1項で「戦争の放棄」、第2項で「戦力の不保持」と「交戦権の否認」を定めている。

1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 日本は、第二次世界大戦後、自衛隊を有しているが、その行使は国を守るための最低限の活動に止めてきた。

 憲法改定には、国会での承認と、国民投票が必要だ。このため自衛隊の活動範囲を広げたい安倍晋三首相は、閣議決定で憲法の再解釈という手段を講じた。しかし、この決定は国内の反発を招いている、とRIAノーボスチは報じている。

◆受賞と国際政治
 今年の平和賞受賞候補者は過去最多の278名だ。候補には、ローマ教皇フランシスコ、米政府による情報収集を告発したエドワード・スノーデン氏、10代ながら人権活動家として働いている少女マララ・ユスフザイ氏、ロシア紙『ノーバヤ・ガゼータ』などが挙がっている。

 ノーベル賞に詳しい歴史家のアスル・スヴェーン氏は、ウクライナ情勢で西欧諸国とロシアの緊張が高まっていることを指摘。この対立により、ウラジーミル・プーチン大統領を批判するノーバヤ・ガゼータ紙が受賞する可能性も高まっているという。また、2010年、中国の人権活動家、劉暁波氏の受賞でノルウェーとロシアの関係は既に硬直しており、今さら関係の悪化を恐れることもないだろう、としている。

 スノーデン氏についてハープウィケン氏は、ロシアに亡命中で、アメリカからは情報漏えい罪などの容疑をかけられ逮捕状が出ている。いまだ同氏を犯罪者とみている人々も多く、受賞は物議をかもすだろうとしている。ノーベル平和賞に関する情報を配信している『Nobeliana.com』は、スノーデン氏の受賞が決まれば、ノーベル賞がノルウェー政府やアメリカの権威からは独立した存在であることを強調することができる、と解説している。

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Text by NewSphere 編集部