太陽光発電バブル崩壊? 再エネ買取制度、見直しへ 相次ぐ電力会社の買取中断も影響か
日本政府は、太陽光など再生可能エネルギーの「固定価格買取制度」について、抜本改定に着手した。大規模太陽光発電所(メガソーラー)で作った電気の買取価格が決まる時期を、「国の事業認定時」から「事業開始時」に改正するという(読売新聞)。電力会社が、再生可能エネルギーの買取を中断する動きが広がり始めたことも影響しているとみられる。
海外メディアも、同紙の報道などを基に、この事態に着目している。
【毎年引き下げられる価格】
買取制度が導入された際、太陽光発電の買取価格はキロワット時42円で、世界的に見ても高額だったとロイターは指摘している。そのため、政府や電力会社の予想以上に、多くの業者が太陽光発電に参入した。しかしその後は引下げが続き、現在の買取価格はキロワット時32円だ。
政府は、風力・地熱等の再生可能エネルギーの買取価格は据え置く一方で、太陽光発電の買取価格は毎年引き下げている、とブルームバーグは指摘している。そのため、買取価格が下がる前に認定を受けようと、太陽光発電業者が、年度末、申請に殺到していた。
ブルームバーグによると、固定価格買取制度の発足以来、72,000メガワットのプロジェクトが認定されてきたが、そのうち96%は太陽光発電である。
【プロジェクト完成に至ったのはわずか15%】
経済産業省によると、6月の時点で、11,090メガワットの再生可能エネルギーが導入されているが、認定容量の15%に過ぎない。土地取得の難しさや設備人材のコスト高なども原因として挙げられているが、送電網の不足がボトルネックとなっている。
25日、九州電力が新規買取契約の受付を中断した。北海道電力、東北電力、四国電力、沖縄電力など、主要電力会社10社中7社が再生可能エネルギーの買取を中断している、と『The Diplomat』は報じている。
電力各社は最大電力需要を想定して必要な容量の送電網を整備している。容量を超えれば大規模停電を招くリスクがある。また、再生可能エネルギーは天候の影響を受けやすく発電量が安定しないため、容量を拡大すれば安定供給に支障が生じる恐れがある。
【全国の送電網の整備が先決】
再生可能エネルギーの固定価格買取制度の改正は、根本的な問題の解決とはならないと指摘する声もある。
日本政府は、福島第一原発事故以来、再生可能エネルギーの利用を推進している。もし認定された太陽光発電が全て導入されたなら、世界トップであるドイツの35,700メガワット(昨年末)の約2倍となる。(『The Diplomat』)。
今回の制度改正では、全国の送電網の拡充まで対処できていない、と同メディアは結んでいる。