プーチン訪日、来年に延期? 日本、欧米の圧力無視できず…
菅義偉官房長官は22日、安倍晋三首相がロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話会談をし、11月に首脳会談をすることを提案した、と述べた。提案は、中国の北京で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)に合わせたものだ。「両首脳は、日本とロシアが話し合いを続ける重要性を確認した」と菅氏は述べた。
【露大統領の日本訪問は来年春か】
日露は、プーチン大統領が2014年秋に日本を訪問することで大筋合意していた。しかし、ウクライナ危機発生でアメリカ政府が日本政府に延期を要請したという(共同通信)。
大統領の日本訪問の前準備となる岸田文雄外相のロシア訪問も決定していない。外相の訪問は、今年春になるとみられていたが、同じくウクライナ危機で無期限に延期となった(RIAノーボスチ)。
在ロシア日本大使館の大槻耕太郎公使参事官は23日、日本政府は今のところ、プーチン大統領の日本訪問についての決定はしていない、と説明した(ITAR-TASS)。
産経新聞は、プーチン大統領の日本訪問は、早くても2015年の初めではないかと予想している。
政府関係者は、「政府は目標を、プーチン大統領の日本訪問から、APECでの首脳会談へと変えた」(共同通信)と話した。
【ウクライナ危機で米欧に足並みを揃える】
共同通信は、日本は米欧によるロシアへの圧力に足並みを揃えることが重要と考えている、と報じている。AFPによると、日本政府は、プーチン大統領の訪問を2015年の春以降で調整を進めようとしているようだ。しかし、それもウクライナ問題で対立しているアメリカとロシアの関係にもよるだろうとも推測している。
日本政府は、ウクライナ危機に関してアメリカやヨーロッパと意見を同じくしていることを示すため、さらなる制裁を早急にロシアに課すことを求められている(共同通信)。
21日の電話会談では、両首脳は、異なるレベルで両国の話し合いを継続していく必要性を話し合ったと、ロシア政府広報が報じている。「日露関係の主要な問題について話し合った。同様にウクライナ情勢など緊急の国際問題についても意見を交換した」
日本は3月、ビザ緩和の協議停止の他、投資、宇宙開発、危険な軍事活動防止の協議凍結を決定した。さらに8月、ウクライナ情勢の不安定化とロシアへのクリミア併合に関与したと考えられる、個人と法人の銀行口座を凍結した。また、クリミア産の一連の製品の輸入を禁止している。
【大国ロシアとの関係強化】
安倍首相は2012年以降、プーチン大統領と複数回の会談を持った。これまでの話し合いで、経済関係の拡大、北方領土の問題解決などをすすめようとしてきた。しかし、ウクライナで起きている問題が、この目論見を邪魔している(AFP)。
RIAノーボスチは、荒井広幸参議院議員の意見を取り上げた。「ロシアは、大国で隣国だ。安倍首相は、ロシアと友好関係を形成したいと考えている」また、同氏は、両首脳が「相互に好感」を抱いているとし、日本とロシアは、チェルノブイリ、福島の原発事故で、お互いに助け合ってきた下地がある、と述べた。天然ガスなどの分野でも協力を拡大するべき、と主張している。また、日本とロシアは、平和協定を結ばねばならない。これが実現すれば、全世界がより安定したものになるだろう、としている。
変見自在 プーチンよ、悪は米国に学べ [amazon]