韓国、ついに対日関係改善を模索? 「知日派」新駐日大使が意欲

 韓国の柳興洙(ユ・フンス)新駐日大使(76)が、先週末、東京に赴任した。歴代最高齢の駐日大使であり、朴槿恵(パク・クネ)政権の最高齢公職者でもある。25日の就任式後、柳大使は26日に外務省を訪れ、斎木昭隆事務次官と会談。日韓関係の早期安定が必要だとの意見で一致した。

 また聯合ニュースによると、日韓両国は、次官級戦略対話を開催する方向で調整しているという。戦略対話は2005年に始まったが、両国の対立から、実現に至っていなかった。

 知日派として知られる柳大使の人選を始め、来年の国交正常化50周年に向けて、朴政権が日本との関係改善の糸口を模索し始めたとの見方が出ている、という(聯合ニュース)。

【柳新駐日大使のインタビュー】
 柳大使は小学5年生まで京都で育った。韓国に戻り国会議員となってからも、韓日議員連盟幹部となり、日本関連の仕事をしてきた。2004年に政界から引退後、韓日親善協会の理事長に就任。2011年には「旭日中綬章」を受けた。日本語が堪能で、日本の政界で広い人脈を持つ。

 韓国の中央日報は21日、柳大使へ単独インタビューを敢行。柳大使は、「大使内定の通知には驚き不安もあったが、国のために私心なく最後の奉公をすることを決心した」、と語っている。自分が「オールドボーイ」であることは否定しないが、健康、体力、判断力や記憶力など心配する声は気にしないようにしたい、という。

 日韓関係が難しい時期の駐日大使としての責任と、国交正常化50周年を迎える来年から新たな両国関係を始められるよう最善を尽くしたい、との意気込みを語った。

【日韓の関係改善】
 また柳大使は、記者団との昼食会でも、今の日韓関係への問題意識と関係修復への意欲を語り、「日本も協力してくれることと思う」との期待を語ったという(中央日報)。

 慰安婦問題については、「日本が解決すべき問題。慰安婦問題は国際的な問題になった」と述べた。同時に、「過去は重要だが、同時に未来を見据えた道を進むべき。未来は正確な歴史認識に基づいてこそより確固たるものになる」とも語っている (中央日報)。

【今後対話の可能性は】
 コリア・タイムズによると、韓国政府当局者は日韓首脳会談が開催される可能性を示唆している。外務省記者によると、柳大使は大統領との面会後、条件付きでの日韓首脳会談について言及した。ただ、アジア太平洋経済協力会議の際に首脳会談が実現される可能性が報じられていたが、柳大使はこれを否定している。

 朝鮮放送によると、日韓は10月までに慰安婦問題を解決し、関係改善の突破口とするための外交努力をしている(外交筋)という。来週には慰安婦問題について第4回目の局長級協議が開催される予定だ。3回までの会議では、両国の認識のずれを確認する結果となっているが、今回の会議が成功すれば、冷え切っている両国関係を改善するきっかけとなる、とコリア・タイムズは期待する論調だ。

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Text by NewSphere 編集部