武器輸出三原則見直しは、日本メーカーに朗報 “国益にかなう”と海外から評価の声

 半世紀にわたり続いてきた日本の「武器輸出三原則」が、初めて見直されることになりそうだ。すでに方針変更の草案を議論する安全保障プロジェクトチームの会合も開かれ、安倍内閣は3月末までに新方針の承認を目指すとしている。

【見直しは日本にも国際社会にもプラス】
 ロイターによれば、今回の見直しは、安倍首相が計画する日本の軍備増強と、米国など同盟国との安全保障面での連携強化が目的だという。

 現在の「武器輸出三原則」は、共産圏諸国、国連決議により武器等の輸出が禁止されている国、国際紛争の当事国又はそのおそれのある国へ向けた武器の販売を禁じるもの。これにより、武器の輸出は一部の例外を除き、全面禁止と同様の扱いになっていた。また、米国を除く国々との武器開発および製造も、禁止されてきた。

 今回の見直しにより、平和貢献につながる武器の輸出に加え、日本の安全保障に寄与する防衛機器を海外に移転することも認められるという。

【中韓の反発も懸念】
 ロイターによると、防衛関連の仕事を請け負う三菱重工や川崎重工といった企業には、今までの武器輸出規制は、技術的・コスト的に非常に苦しいものだったという。今回の見直しが、今まで海外市場では実質的に外されてきた日本の防衛産業に活力を与える、という期待も高まっている。

 一方、日本の軍国主義の苦い思い出が深く残る、中国や韓国を刺激するという懸念も指摘されている。

【安倍首相は支持されるべき】
 独立系シンクタンクの学者、スティーブン・ハーナー氏はフォーブス誌に寄稿し、安倍首相の「新武器輸出三原則」が支持されるに値すると述べ、「安倍首相と日本の軍事企業にもっと力を」と主張している。

 同氏は「武器輸出三原則」のもとで多くの例外が生み出され、実質上日本企業は米国の武器開発に協力してきたと指摘している。

 例えば、日本の企業は、航空自衛隊が使用するF-35戦闘機のため、国外での部品供給という例外を獲得した。防衛省のバックアップもあったという。昨年3月には、F-35の部品を、従来は「国際紛争地域」と考えられるイスラエル輸送することを政府が許可したことも指摘している。

 同氏は、日本の軍事企業にとっては、競争力を保ちテクノロジーの最前線に立つため、研究開発に取り組み現代的兵器を製造することが必須だと述べ、安倍首相は国益にかなうよう適切に進めていると評価したうえで、「新三原則」はだれの脅威にもならないと結論づけている。

武器輸出三原則はどうして見直されたのか? [amazon]

Text by NewSphere 編集部