日本企業の武器開発後押しがねらい? 武器輸出三原則見直しのねらいを海外紙が分析
安倍内閣は従来の「武器輸出三原則」に代わる武器輸出管理原則の素案を作成し、与党内での調整に入った。これは数十年来続いた日本の武器輸出禁止政策を覆すものだ。
武器輸出三原則は1967年に定められ、(1)共産圏、(2)国連安保理決議により武器輸出が禁止されている国、(3)国際紛争の当事国またはそのおそれのある国、に対する武器輸出を禁じるというものだった。その後1970年代になって、これは事実上の全面禁止に等しくなった。輸出だけでなく、アメリカ以外の国との武器の共同開発も禁止されていた。
【見直し案の内容】
見直し案では、PKO派遣先の要請で自衛隊が装備品を置いてくるなど平和に貢献する場合や、武器の共同開発など日本の安全保障に有益な場合は、厳格な審査の下で、武器輸出を承認できることとされている。
従来の三原則のうち、「国際紛争の当事国」の項目が削除されているが、これはロッキード・マーティン社製の次期主力戦闘機F35に搭載される日本製部品を、イスラエルへ輸出する場合を念頭に置いてのことだという。
【海外の報道】
今回の見直しについてロイターは、安倍政権の国家安全保障戦略の下、軍備の自立性を高めるのが狙いと見る。現在の武器輸出禁止政策は、三菱重工、川崎重工、IHIといった防衛産業関連企業が、国際的な武器の共同開発に参加することを困難にしており、技術面、コスト面での遅れが懸念されているからだ。
今回の見直しは、かねてから安倍首相が主張しているような、軍備増強を続ける中国と予測不可能な北朝鮮による安全保障上の脅威の増大に対処するためのものである。
だがロイターは、第二次大戦時の日本による侵略に今も深い恨みを抱いている中国と韓国から批判が出るだろうと述べる。長きにわたって対立している領土問題もあり、中国と韓国による日本に対する警戒は一層深まり、緊張が高まるおそれがあるとロイターは見る。
【日本における世論調査】
22、23両日、共同通信は電話による世論調査を実施した。日本全国からランダムに選んだ1418件のうち1011人から回答が得られたという。これによると、武器や関連技術の輸出を原則的に禁じる武器輸出三原則の緩和に反対するという回答は66.8%に上り、賛成の25.7%を大きく上回った。全世代で緩和反対が賛成を上回り、女性では74.7%が反対だったという。
全回答者の2/3が武器輸出の緩和に反対していることから、緩和の方向で新原則を策定する方針の安倍政権に対して慎重な対応を迫る結果となったと共同通信は述べている。