“日中関係悪化の契機” 中国人船長を損害提訴 海外メディアが分析する日本のねらいとは
尖閣諸島付近で2010年、中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した事件で、日本政府は12日、当時の中国漁船のセン其雄船長(44)に対し、巡視船の修繕費など約1429万円の損害賠償を求める訴訟を那覇地裁に起こすと発表した。
これに対し、中国政府は挑発行為だと非難。同国外務省の華春瑩報道官は、日本が中国の領海を侵犯したとの政府の立場を強調し、船長に対するいかなる法的措置も「違法か無効だ」と述べた。
海上保安庁は今回の提訴に当たり、衝突時の映像を証拠として提出するため、初めて一般にも閲覧可能にする。一部の映像は元海上保安官により既にユーチューブに流出している。
【日本側の「脅しの訴訟」は「象徴的なしぐさ」にとどまる】
日本政府はセン其雄船長にこれまで11回、請求書を送ったが無視されてきた。提訴を決定したのは、2年前に開始した支払い請求の時効を数日後に控えているためだ。
ただ、日本当局には同船長を強制的に裁判所に出頭させたり、支払わせたりする権限がない。このため、日本側の「脅しの訴訟」は「象徴的なしぐさ」にとどまるとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じた。
日本の検察当局は当初、公務執行妨害容疑で同船長を逮捕したが、日中間の緊張激化を防ぐため処分保留で釈放していた。
【両国の「国家主義」が日中関係悪化の要因】
ロイターは、この2010年の尖閣沖衝突事件が発端となり、日中の国家主義者の狂乱が増し、両国の外交・経済関係が急速に冷え込んだと報じた。
昨年11月には中国が防空識別圏を一方的に設定、12月末には安倍首相が靖国神社を参拝。領土問題、歴史解釈をめぐり、両国の関係は悪化の一途をたどっている。
華報道官は日本の指導者に対し、「国際社会と日本国内の正義の声に向き合い、誠実な態度で誤りを訂正し、責任を持って歴史問題を適正に対処し、アジア隣国と国際社会の信頼を得るために現実的な努力をすること」も求めたと中国国営新華社通信は報じている。