安倍首相、ダボス会議で初の基調講演 海外紙は経済政策アピールの“キラーフレーズ”に注目

 安倍晋三首相は、22日からスイスで開かれる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に参加する。安倍首相は、日本の首相として初めて基調講演を行う。講演では、経済政策を大きく取り上げる予定のようだ。

 ダボス会議には、アメリカのジャック・ルー財務長官をはじめ、欧州委員会のホセ•マヌエル•バローゾ委員長、イングランド銀行のマーク・カーニー総裁、日本銀行の黒田東彦総裁、各国企業トップなども参加する。

【「経済政策に重点を置く安倍政権」を強調】
 ダボス会議は、安倍晋三首相にとって自身の経済政策に世界的関心を集める良い機会だ、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。

 安倍首相は首相就任後の1年間、国内経済回復を最優先課題として取り組んできた。しかし、昨年12月の靖国参拝で国外から非難を浴び、日本政府が経済に変わり、自衛隊を正式な軍隊として認めることを政策の中心に置くのは時間の問題だ、との意見があがった。このような批判をかわすため、同首相はダボス会議で、安倍政権の関心はタカ派政策よりも経済にあることを、海外の投資家に再保証する機会として利用するだろう、と同紙はみている。

 菅義偉官房長長官は17日、「安倍首相は、2014年も変わらず経済を最優先課題にすると発言している。ダボス会議での演説も経済政策が中心になるだろう」と述べた。

 同紙は、安倍首相は元来雄弁家ではないが、海外では、様々な耳障りの良い謳い文句を駆使して日本の経済政策を訴えてきた、と報じている。2013年2月、ワシントンでの「Japan is back(強い日本が帰ってきた)」や9月、ニューヨークでの「buy my Abenomics(アベノミクスは買いだ)」などを紹介している。

【経済回復の持続には「第三の矢」実行が不可欠】
 また、ブルームバーグの調査によると、日本はビジネスに適した国としてのランク付けで、ヨーロッパ諸国に遅れをとっている。このことは、安倍首相が規制緩和を実行し、日本が外国企業にとって魅力ある市場とする必要性を強調する結果ともいえる、と指摘されている。この調査で日本は12位に転落。1位は香港だった。

 安倍首相は着任後、経済政策の一環として企業が活動しやすい国づくりをすすめると約束してきた。しかし、法人税削減などの方策はいまだ導入されていないとブルームバーグは報じている。

 さらに、「日本はヨーロッパと比べ、企業に優しい環境づくりが劣っている」「ヨーロッパ諸国は、経済危機を経験したことで、雇用市場の改革により真剣に取り組んでいる。日本は規制緩和と構造改革という第三の矢の進展がほとんどみられない」という、日本のエコノミストの見解を紹介した。

 他にも、「日本は、あきらかに人口統計的問題にぶつかっている。通貨は増刷できるが労働者を刷り増すことはできないからだ」という海外エコノミストの発言も報じた。

 ロイターの先週の調査によると、エコノミストたちは一様に、2014年も企業の賃金は大して上がらず、インフレ率も2%を下回るだろうと予想している。

ニッポン再起動 こうすれば日本はよくなる!(竹中平蔵)

Text by NewSphere 編集部