沖縄基地“もう18年足踏み” 名護市長選受け、米メディアは日米関係を危惧

 19日、沖縄県名護市の市長選挙が投開票された。米軍普天間基地の辺野古移設問題が最大の争点となったが、反対派である現職市長の稲嶺進氏が再選を果たした。

【争点の米運吉辺野古移設 地元は依然猛烈に反対】
 今回の市長選挙は、沖縄県知事の仲井真弘多氏が先月、政府の辺野古埋め立て申請を認めたことで、その後の民意の反応として注目を集めていた。

 ニューヨーク・タイムス紙は、移設に対する地元の反対は依然強く、反対派である稲嶺氏の再選は予想通りだったと報じている。同紙によると、再選が確実になった稲嶺氏の事務所には支持者が集結、歓喜の声をあげたとのこと。ある有権者は「仲井真知事は私たちを裏切った」と語ったという。

 安倍首相率いる自民党は、稲嶺氏の対立候補として末松文信氏を擁立し、さらに投票の1週間前には名護市に5億ドルの「振興基金」創設を掲げた。これは、6万3000人の名護市民ひとりにつき、約8000ドルにあたる。

 しかし末松氏は、稲嶺氏に4000票の差をつけられ敗退した。フォーブス誌はこの結果を、「数字は僅差に見えるかもしれないが、いち市長選の枠を超えた影響力を持つ」と伝えた。

【安倍首相は厳しい状況に追い込まれたと分析】
 政府はこの結果を受けてなお、移設計画の変更はないことを表明した。ニューヨーク・タイムス紙は、安倍首相の今後を「4年後の選挙で保守派が勝つのを待つか、工事を強行するか」の2択と分析した。

 ただし、工事の強行には地元の激しい抗議活動が不可避なこと、および工事に必要な港や道路の使用許可を稲嶺氏から得るのは難しそうである点をあげ、いずれにせよ安倍首相は厳しい状況に追い込まれたとの見方を示した。

 一方フォーブス誌は、安倍首相の今後を、多額の財政支援をエサに仲井真知事から獲得した、移設同意が頼みだろうと分析する。政府は沖縄に多額の財政支援を行っており、今回の移設に関しても、今後8年にわたる3億ドルの支援を表明していた。

【米メディアは日米関係の障壁となることを危惧】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は今回の結果について、「埋め立て許可を県知事から獲得したばかりだったのにまたブレーキがかかった。もう18年足踏みのままだ」と伝えた。ニューヨーク・タイムス紙は同基地を「オバマ大統領のアジア太平洋地域における米軍再編計画の核」と表し、移設の遅れは日米関係の不和へとつながる、と伝えている。両紙とも、反対派の勝利が、日米関係の新たな障壁となることを危惧した報道姿勢となっている。

 またフォーブス誌は、反対派が圧倒的な中にも賛成派は確かに存在すると報じている。地元の商店には、米軍の存在が商売の助けとなっているとの声がある、と伝えた。

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Text by NewSphere 編集部