日中非難合戦にあきれ顔の海外報道 「両国とも“実利よりメンツ”だから、衝突の危険も」
アフリカ歴訪を終えた安倍首相は14日、5年間で大陸全体に総額20億ドルの融資を約束し、特にアフリカの若者と女性への支援を重視していると演説した。これに対し中国の解暁岩大使(駐エチオピア)は翌日、安倍首相は「アジア最大のトラブルメーカー」であり2つの顔を持つ人物であって、信用してはならないと警戒を呼び掛けた。
【汚職屋vs戦争屋?】
印ザ・ヒンドゥー紙は、アフリカの資源をめぐる囲い込み合戦の背景を示唆している。すでに2012年時点で2000億ドル以上の対アフリカ貿易を持つ中国の庭に、日本が殴り込みをかけている構図だということだ。
訪問に先立ってすでに日本政府は、中国の戦略が「明らかに自国民よりもアフリカの指導者らに向いている」と皮肉っており、首相スポークスマンも「日本のような国は・・・美しい家々や美しい庁舎をアフリカの指導者に提供することはありえないのです」と発言した、と報じられている。また、13日に自衛隊空挺団が離島奪還を想定した演習を行い、そこで小野寺防衛相が「中国の再三の侵入を見過ごすことは決してできません」と名指ししたことも触れられている。
これに対し解大使は、旧日本軍の残虐行為の写真を掲げる「感情的な記者会見」で、靖国神社参拝など、安倍首相のアジアでの「トラブルメーカー」ぶりを説いた。そのうえで中国とアフリカは「中国が貧しく、アフリカが今日得ているような注目を得ることもなく放置されていた時から」、何十年も互いに支援し合って来たのだと、中国の影響力に自信を示した。
【中国が居座れば日本が盾突く】
日中大使が互いを「ヴォルデモート卿」呼ばわりする非難合戦をすでに放送しているBBCは、中国メディアが揃って日本を(第一次および第二次)大戦前のドイツになぞらえ、なおかつ、ドイツは現在でも戦犯を厳しく追及しているのに日本はそれとかけ離れていると評している、と報じた。すなわち戦後秩序を打破して「普通の国」になろうと熱望し、国内のナショナリスト感情を煽って支持率を維持しており、強力な産業と技術基盤を持っている、という。しかし中国もまた、西洋メディアから第一次大戦前の帝政ドイツに喩えられており、中国側は「根拠のない恐怖」だと反論しているようだ。記事は「ドイツ人がどう思うだろうか」と、あきれ顔で結んでいる。
またUAEハリージ・タイムズに寄稿した米ロヨラ・メリーマウント大学のトム・プレート教授は、日本は長い歴史と優れた文化を持ち、不況でもまだまだ落ちぶれたとは言えず、戦後ストイックなまでに平和主義を維持した称賛すべき国であるが、「古い恨みを晴らすことに飢え、鬱積したエネルギーを抱えて長い眠りから覚めた」中国に目を付けられてしまったと評する。日本も中国も実利に疎いメンツ第一の政治文化なので、「風刺家にさらなる漫画を挑むかのごとく」頑固かつ陳腐に、「中国が頑固に居座れば東京は頑固に盾を突く」。従って世界第2と第3の巨象が牙を振り回して喧嘩する愚は明白であるにも関わらず、衝突の可能性は充分あるとのことだ。