日中対決、アフリカに飛び火? 海外メディア、両国の異なる思惑と戦術を分析
日本と中国の代表が前後してアフリカを訪問した。中国外相は1月7日から11日まで、エチオピア、ジブチ共和国、ガーナ、セネガルを訪問。日本の安倍首相は1月9日から1週間、中東のオマーンと、アフリカのコートジボワール、モザンビーク、エチオピアの3カ国を歴訪した。
日中関係が冷え込む中で、今回の歴訪は、日中がアフリカで影響力拡大をかけた対決をしていると海外メディアで報じられた。
【中国の主張】
中国外務省の報道官は、外相のアフリカ訪問は日本を意識してのことかという質問に対し、「そのような考えは、中国とアフリカの関係をよく知らないからだ」と否定。中国外相の新年最初の外遊は、伝統的にアフリカであり、日本とは全く関係ないという姿勢を示したと、外交ニュースサイト『ディプロマット』は報じた。
また同サイトによると、中国側は、「中国は誠実で私欲のない援助をアフリカに行っている。アフリカをめぐる争いは間違った判断であり、失敗に終わる」というコメントを日本に向けて発した。それと同時に、アフリカでの勢力拡大をねらうアメリカや他の国々もけん制したという。
【日本の主張】
一方、日本も、安倍首相のアフリカ訪問は、中国とは関係ないというコメントを発表した。内閣官房副長官は、「中国と競うという考えは全くない。アフリカ諸国はとても重要な地域だ」と述べた。
アフリカは、日中両国にとって、豊かな天然資源と投資の機会に恵まれた魅力ある地域である。日本は、経済の低迷から脱却をはかっており、安定的な資源の確保と、アフリカ市場は重要な位置を占める。ニューヨーク・タイムズ紙は、アフリカ諸国との関係強化は安倍首相の外交政策だけでなく、アベノミクスを推し進めるためにも重要だ、と分析している。
【安倍首相と中国外相のコメントから見えてくるもの】
今回のアフリカ諸国訪問では、日本と中国の目的の違いが、首相や外相のコメントに顕著にあらわれていると『ディプロマット』は分析する。
安倍首相は訪問した先々で、経済協力、支援を口にした。エチオピアでは、経済支援と投資の拡大を中心にした、アフリカ外交政策のスピーチを行っている。つまり日本は、経済的支援を通じたビジネス関係の強化が目的とみられている。
一方、中国は、道路や政府建物の建設を援助しているが、それを公には発言していない。中国外相のスピーチは、「経済協力、支援」といった言葉ではなく、「確固たる協力」や「伝統的な友好関係を強化」といった言葉を使用し、あくまでもアフリカ諸国政府との友好関係強化を強調している。中国の政策に対するアフリカ諸国の支持を取り付けようとしているとみられている。
つまり日中は、アフリカ諸国における影響力拡大という目的は同じでも、その背景にある思惑は異なるというのだ。