安倍首相アフリカ訪問、3つのねらいとは? 海外紙分析
安倍晋三首相は14日、1週間にわたる中東・アフリカ4ヶ国の訪問を終え、帰国の途に着いた。海外各紙は、今回の訪問のねらいについて、アフリカの豊富な資源・市場への進出、経済援助を通じたテロ防止、国際的な影響力の強化、の3つを挙げている。
【アフリカの豊富な資源・市場】
ウォール・ストリート・ジャーナル紙の伝えるところによると、アフリカ大陸の人口は2030年までにインドを凌ぐであろうと見られており、専門家はそこに巨大な消費者市場の出現を予測している。アフリカのサハラ以南の地域経済は、2000年以降、世界経済を上回るペースで成長している。世界的な高騰により天然資源の豊富な地域が利されたためだ。
特にモザンビークは、2011年の鉱床発見以来、天然ガスのフロンティアと目されている。安倍首相は、モザンビークに対して、今後5年間で700億円相当の経済支援を行うと発表した。具体的には、炭鉱やレアアース鉱床への道路の拡張といったインフラの構築が主となる。
また安倍首相は、日本の首相として初めて、西アフリカのコートジボワールを訪問。2012年にフランスの貿易商社CFAOを買収し販売網を構築したトヨタ自動車に続き、かの地で足がかりを得ようとする経済界をバックアップする試みだとウォール・ストリート・ジャーナル紙は分析する。
【西アフリカで日本が目指すもの】
安倍首相はコートジボワールで、「西アフリカの人々と共に、我々は世界を、力でなく法による支配が優勢な、平和で繁栄した場所にしたい」とスピーチしたという。
ニューヨーク・タイムズ紙は日本の政府関係者の言葉として、以下のように報じている。2000年以来中国がアフリカに注ぎ込んできた75億ドルの開発援助には追いつかないので、他の手段で差を埋めたい。一つはアフリカ人の技師や技術者を訓練する援助だ。日本の活動は、主に自国人を雇うことで非難されてきた中国とは違うことを明らかにする。
日本のゴールは、安全なサハラ以南での民間投資の促進と、経済援助によって「脆弱な国」をなくし、テロの基地になるのを防ぐことだ、との日本の援助機関の職員の言葉も伝えている。
また日本は、国連加盟国の3割近くを占めるアフリカ諸国に支持を広げ、影響力の拡大を図っているとも報じられる。
【中国専門家による分析】
人民日報傘下のグローバル・タイムズ紙は、モザンビークでの中国の影響はアンゴラなどアフリカの他の国々においてほど強くはない、との分析を伝える。中国のアフリカ専門家は、モザンビークは、マラウィ等日本が大規模な投資をしていた国と近く、地域での日本の影響力強化することになりうると分析している。