中国をけん制? 日本、280島国有化の狙いとは 海外メディア分析
日本政府は、領海(陸地沿岸から12海里)の範囲を設定する基点となっている約400の離島のうち、約280の島を国有化し、国有財産台帳に登録する方針だと発表した。6月までに所有者の調査を終え、所有者がわからなかった場合は国有化するという。山本海洋政策・領土相は、「国有化することで、管理を強めていく」と記者会見で述べた。
【対象となる島は】
安倍首相をトップとする総合海洋政策本部は、昨年8月から調査を実施している。現在のところ、有人島が約50島、無人島が約350島。無人島のうち約70島は所有者が判明しているが、約280島の所有者はわかっていない。
日本の民法では、所有者のいない土地は国庫に帰属すると定められているため、調査終了までに所有者がわからない場合は国有化される。政府は、無人島のうち名称のない約160島について、地域に伝わる呼称がないか確認した後、地方自治体を通じて名称を公募し、定める予定だ。
日本の領海や排他的経済水域(陸地沿岸から200海里)の基点となっている離島は約500島あるが、状況が把握されていない状態だった。政府は、排他的経済水域の基点になっている所有者不明の99島をすでに国有化している。
【なぜ離島の国有化なのか】
中国や韓国と領土問題で緊張が高まる中、日本政府が離島の国有化に乗り出した、と海外メディアは報じている。中国とは、東シナ海に位置する尖閣諸島(中国名は釣魚島)をめぐり、空海域でのせめぎ合いが続いている。11月には、中国が突如、尖閣諸島の上空を含む東シナ海の広い範囲に防空識別圏を設定した。
その数週間後に、日本は国家安全保障戦略を発表。外交ニュースサイト『ディプロマット』は、戦略の柱は島の防衛であり、領土だと認識してきた島を法律上、行政管理することで、領土の安全を保つ動きだと論じている。
シドニー・モーニング・ヘラルド紙は、今回の日本の動きに対し、離島を「重要国土」とし、海洋資源の管理や安全保障を強化する日本政府の狙いは明らかだと分析している。冷静かつ断固として中国の空海域での挑発行為に対応する、という防衛ガイドラインに沿って、政府が国益と安全保障のために離島の国有化に乗り出したとみている。