安倍政権へのけん制か? 中国、軍事演習妨害で日本を非難
中国国防省は31日、人民解放軍海軍が実弾演習を行っている海域に日本の軍艦が侵入、演習を妨害したと主張、日本側に抗議した。このような挑発的行動は、予期せぬ非常事態を招くだろう、と警告した。
日本側は演習妨害の事実はないとしている。
中国軍による軍事演習は、10月24日から11月1日まで、東シナ海で実施されていた。
【中国側は妨害されたと主張】
中国国営新華社通信によると、国防省の楊宇軍報道官は23日、国際海事機関を通じ、演習期間中に外国船や飛行機の領域へ入ることを避けるよう警告していたという。同氏は、日本の海上自衛隊が25日の朝、警告にもかかわらず演習に乱入し、同海域に3日間留まった他、偵察機も数回侵入したと非難した。また、中国海軍が通常の航行をしている間も、追跡し監視していたという。
同メディアは、軍事演習区域外で他国がその様子を監視するのは珍しいことではないが、軍事演習中に侵入することは国際法に反する、との軍事専門家の見解を取り上げている。
中国側は、「日本が今回の出来事を踏まえ、不正な行動を正す確実な手段を講じるよう要求する」「そうでなければ、日本はいかなる結果を招いたとしても受け入れなければならないだろう」と日本に反省を求めている。
人民日報傘下のグローバル・タイムズ紙は、他の専門家の「安倍政権は、もはや、中国との相互利益のための戦略的関係を築こうとしていない。尖閣諸島の領有権問題を利用して、年末までに、自衛隊に関する新しい法案と、これまでになく強固な防衛構想を成立させようとしている」との見方を取り上げている。
【日本側は中国の主張を否定】
これに対し日本の小野寺五典防衛大臣は記者会見で、尖閣諸島の南東で行われていた演習の妨害をした事実はないと、中国側の非難は間違ったものだと説明した、とロイターが報じている。同氏は、「国際法に沿った通常の監視活動をしていた」「中国側の意見は受け入れられない」と発言した。
そして「中国が定期的な軍事演習を行うことは違法ではないし、日本がそれに注意を払うことは、同様に当然のことだと思う」とも述べた。
【安倍政権へのけん制か?】
一方日本は、1日から18日まで、九州・沖縄で、3万4000人の自衛官と駆逐艦、F-2戦闘機を使った大規模な軍事演習を行う予定だ、と英テレグラフ紙が報じている。演習は、空、海、陸で実施され、実弾も使用されるようだ。
また日本政府は、世界に向け、中国、韓国、台湾との領土問題に関して自国の正当性を訴えるPR活動を開始している。同紙は、これらの動きは、領土問題に強硬な態度をとる安倍晋三首相により進められている、と報じている。
突然の中国側の抗議の背景には、こうした安倍政権に対するけん制の意図があるかもしれない。