海外紙が安倍首相の「対中国警戒」に注目 その背景とは
安倍首相は27日、自衛隊観閲式に出席し、「現状を変えるための武力行使は容認されないとの、私たちの強固な国家意思を示すために、私たちは監視や情報収集など、様々な活動を実施する必要があります」、「平時にすべきことはひたすら訓練のみであり、防衛兵力はただ存在するだけで抑止になる、というような古い観念は捨てる必要があります」などと訓示を述べた。
CNBCは、「現状を変えるための武力行使」は、しばしば日本の政治家や専門家が用いる表現で、東・南シナ海における中国の海洋拡張を指すと解説している。
【WSJ紙は、「安倍首相が中国に対抗すると語った」と題してインタビュー記事を掲載】
安倍首相は25日、ウォール・ストリート・ジャーナル紙とのインタビューで、日本が「貢献」をする重要な方法は、アジアで中国に対抗しリーダーシップを発揮することだ、との考えを明らかにした。首相は、中国が法の支配ではなく力で現状を変更しようとするなら、「平和的にはいかなくなる」と警告。国際社会も日本が強い意志表明をすることを望んでいると語った。
同紙はまた、南シナ海などで中国と対立するASEAN諸国に対し、首相が積極外交策に出ていることを指摘し、対中国包囲網を主導しようとする意図を示唆している。今月の一連のアジア首脳会議に、オバマ米大統領が国内予算問題のため欠席したことで、米国の後ろ盾に対する諸国の不安が高まり、安倍首相の存在感が増したと同紙はみている。安倍首相は12月にも、日本でASEAN10ヶ国の首脳を迎える予定になっている。
こうした報道の背景には、中国の動きがある。
【中国航空機が3日連続接近。さらに原潜パトロール開始を発表】
同日、中国の爆撃機2機と早期警戒機2機が、南西諸島方面を通過して太平洋まで往復した。日本領空の侵犯はなかったが、日本は戦闘機をスクランブル発進させた。同編成の編隊が3日連続で同じコースを飛行し、そのたびにスクランブルが発生しており、防衛省は非常に稀な事態だと評している。
またフィナンシャル・タイムズ紙は、中国が原子力潜水艦隊による海洋パトロールを開始したと発表した事を報じた。中国側は「海中へギャロップし、深海の雷鳴を点火するミステリアスな部隊」「敵性者を震えあがらせる暗殺者の鉄槌」などと豪語しているようだ。
テレビ朝日によると、中国国営テレビは28日、原子力潜水艦が港に停泊している場面や隊列を組んで海上で演習をする場面などを、初めて放送したという。
国営新華社通信も、機密解除を理由に、「夏」級弾道ミサイル原潜と思われる写真を発表した。ただ、「夏」級は旧式なミサイル原潜で、1隻しか存在が確認されていないため、前述のパトロール潜水艦隊とは別との見方もある。
さらに中国海軍は、新型の「晋」級弾道ミサイル原潜を建造・就役過程にあり、7月には初めて駆逐艦に宗谷海峡を通過させるなど、活動を活発化させていると報じられている。