尖閣問題「米国からお墨付き」 海外紙の視点とは
岸田文雄外相、ジョン・ケリー米国務長官、小野寺五典防衛相、チャック・ヘーゲル米国防長官は3日、東京の「2+2(外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会)」会合で、2014年末までに防衛協力指針を改訂すると合意した。同指針の改訂は1997年以来となる。
また2020年代前半以降、沖縄からグアムに米軍の一部を移動することも合意された。
【尖閣にお墨付き】
合意は、テロ対策、海賊対策、平和維持、能力構築、人道支援および災害救援、機器や技術の向上など、協力範囲の拡大を謳っている。また、サイバー空間と宇宙空間での二国間協力を促進し、共同での諜報、監視、偵察活動を強化するという。
米国は年内に米国外で初めてP- 8海軍哨戒機を日本に配備、来年からはグローバルホーク無人航空機も派遣する。また、丹後半島先端の経ヶ岬に「Xバンド」早期警戒レーダーシステムも配備する。その代わり日本海のイージス艦を他へ転用することで予算節約を目指す、とも報じられている。
日本については、国家安全保障会議(日本版NSC)の創設、中国包囲網として東南アジア諸国への支援拡大、全体的な軍事費増額、集団的自衛権を容認する憲法解釈変更、といった点が報じられており、また、そうした方向性が米国から公に支持されたという点も強調されている。
各紙は、北朝鮮や中国を意識した動きだと報じている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、特に尖閣問題などに際して「日本の当局者らは、米国の同業者からお墨付きを得たことを強調したくて仕方がない」様子だと評した。
ケリー長官は「これらの島々は日本が統括するものであると、強く認識している」と発言した。ヘーゲル長官も、尖閣諸島は安全保障条約によってカバーされており、攻撃された場合は日本の防衛を助ける義務が米国にあると繰り返した。
【米国の葛藤】
同紙は、日米当局者がこの会合を「歴史的」と評した、と報じている。ただしその理由は、日本閣僚が米国に出向くのでもなく、日本に米国側から代理が派遣されるのでもなく、実際に国務長官と国防長官が揃って日本へ出向くのが、1990年に2+2対話の枠組みができて以来初だからだという。現在、米国は予算案不成立による政府一部停止が原因で、オバマ大統領さえマレーシア・フィリピンへの訪問をキャンセルせざるを得ない状態である。
こうした予算上の混乱や軍事費削減、さらに中東情勢に忙殺されていることで、オバマ政権がアジア重視戦略という公約を果たせるのか、疑問視されつつあったと各紙は伝える。またニューヨーク・タイムズ紙は、同じくアジアの緊密な同盟国である韓国が、日本の動きを歓迎するはずはなく、米国は板挟みになると指摘している。