ナチス発言も影響? 戦後最大の護衛艦「いずも」進水で、海外紙が日本の姿勢を懸念
海上自衛隊は6日、横浜で、ヘリコプター搭載護衛艦「いずも」の命名、進水式を行った。「いずも」は全長約250メートル、基準排水量約1万9500トンで、14機のヘリコプターを搭載することができる。災害救援や平和維持活動、対潜水艦作戦を行う。
海外紙の報道では、進水式が6日(広島原爆の日)だったことや、「いずも」の名称が中国を攻めた旧海軍の巡洋艦と同じだったことなどが注目されている。日本は、6日に進水式を行ったことに対し、大潮と大安の日とたまたま重なった「偶然」であると説明している。
【中国、「いずも」は空母だと警戒】
護衛艦「いずも」に対し、中国は「空母」であると懸念をあらわにしているようだ。
人民日報傘下のグローバル・タイムズ紙は、「いずも」は改造すれば戦闘機の搭載も可能だと報じている。同紙はまた、フランスの空母「シャルル・ド・ゴール」より全長は約13メートル短く、規格や排水量はいくつかの国が保有する軽空母より大きいと指摘している。
日本政府は、カタパルト(航空機を射出する機械)がなく戦闘機を搭載することができないため、「空母」ではないと主張している。
同紙によると、中国の関係者は、戦闘機を発着できるように改造することは容易だとして、「だまされない」と警戒しているという。
【英紙専門家は日本に懸念】
フィナンシャル・タイムズ紙の外交専門エディターGideon Rachman氏は、安倍政権の外交姿勢に批判的な論説を展開した。
「いずも」の進水などは、中国など近隣諸国との緊張関係を高めるだけでなく、米国など同盟国を困惑させていると同氏はみている。これは単体ではそこまで問題にならなかったであろうが、先日、麻生副総理がナチスを肯定するかのような発言をしていたことが影響しているという見方を示した。
同氏はまた、5月に安倍首相が「731」と書かれた自衛隊機に笑顔で乗っていた写真に対し、韓国が旧日本軍の「731部隊」(生物実験などで悪名高い)を連想させると非難していたことに言及。当時は韓国の反応を「病的」と感じたが、今ではそれに確信が持てないという。
総じて、麻生氏のナチス発言の影響が尾を引き、「国家主義的」な安倍政権に対する、海外紙の警戒の大きさが伺える記事だったといえる。