海外紙が予測する次期日銀総裁とは?
安倍首相は18日の衆議院予算委員会で、インフレ目標の2%を達成できなければ「日銀法改正も進めなければならない」と発言し、金融緩和政策を一番の課題にすることを改めて表明した。こうした中、3月19日に退任する白川日銀総裁と2人の副総裁の後任が誰になるのか、今後の日本の金融政策はどうなるのか、各紙は注目している。
【今後の金融緩和政策】
ウォール・ストリート・ジャーナル紙はデフレ脱却を最優先する安倍首相の言動に注目。「アベノミクス」と呼ばれる積極的な経済政策でデフレ脱却を目指す安倍内閣は、日銀が同調できなければ日銀法改正を検討すると圧力をかけていると報じた。昨年末に自民党が政権を奪回して以来、インフレ期待が強まり、急速な円安が進み、株式市場は上昇が続いていることを証拠に、政策の効果が出ていると安倍首相は発言している。しかし専門家の間では、今後の消費者物価指数は下がるのではないかと予想されており、金融政策の効果は高く評価されていないと報じた。
【次期日銀総裁は?】
18日、菅官房長官は日銀の正副総裁人事案を2月末までに提示する意向を示した。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、総裁の有力候補として、武藤敏郎 大和総研理事長と、岩田一政 日本経済研究センター理事長の二人を挙げた。両氏は2003年3月から5年間日銀副総裁を務めていた。
フィナンシャル・タイムズ紙も総裁の人選について見解を示している。安倍首相が掲げる2%の物価目標と大胆な金融政策を支持していること、金融政策運営の経験があり海外や市場と対話できる人物が適任ではないかと報じた。武藤氏については、前回の日銀総裁選出時に民主党の反対を受けて見送られた経緯があると報じている。
ニューヨーク・タイムズ紙は、次期日銀総裁の人事をめぐり安倍首相と麻生財務大臣の間で意見の相違があると報じている。エコノミストによると、安倍氏は海外への発進力に重要視する上で語学堪能な岩田氏を支持し、麻生氏は学者ではなく組織運営の経験者がふさわしいという理由で武藤敏郎氏を支持しているとのこと。急進的な安倍氏と慎重派の麻生氏の意見が対立しているとみて、「アベノミクス」を支える次期総裁を選ぶのは容易なことではないと同紙は伝えている。