【特集】海外紙が注目する衆院選の争点とは?
第46回衆院選は4日、公示された。投開票は16日に行われる。立候補者は1504人(比例、小選挙区合計)で、現行制度下では最多となる。比例代表には12政党・政治団体から立候補があった。
海外各紙は、民主党・自民党、「第3極」の主張の違いに焦点を当てた。フィナンシャル・タイムズ紙は特に、経済政策、TPP、原発問題について報じた。
経済政策については、自民党がインフレ率の2%上昇を公約に明記している。安倍総裁が日本銀行に対し、無制限の金融緩和を求め、日銀法の改正を視野に入れている点は注目されている。長引くデフレ・円高が景気回復を妨げているとしたうえで、さらに積極的な金融緩和により、企業の投資を後押ししたい考えだとみている。一方民主党は、安倍総裁の発言を危険視し、反対姿勢だと指摘される。日銀とは「一つになって」ことにあたりたいという姿勢だ。マニフェストでは、新エネルギーなど成長分野の育成を柱としている。
TPPについては、民主党は野田首相を先頭に、参加に積極的である一方、自民党などは国内農・漁業界の反対を恐れて、参加の是非には声を濁していると指摘されている。(編注:自民党は「聖域なき関税撤廃前提なら反対、と公約に明記)
原発問題については、両代表は福島で選挙運動を始めたが、対応は異なっていたようだ。自民党の安倍氏は、原発に関しては稼働することに賛成している。過去の報道では、原発新設を容認するようなコメントがあったとも報じられている。一方民主党の野田総理は、「2040年までには原発をなくす」としており、ウォール・ストリート・ジャーナル紙などが注目している。
「第3政党」になろうとしのぎを削る各党の動きにも注目が集まっている。特にウォール・ストリート・ジャーナル紙では、石原元東京都知事や橋下大阪市長が主導する「日本維新の会」に注目しているが、当初の脱原発姿勢を転換するなど、姿勢のブレが指摘されている。
ただ、政党の乱立自体には批判的な報道がみられる。フィナンシャル・タイムズ紙は、国民が「党の政策の違いがわかりにくく、混乱している」状況だと報じた。またウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「単独政党が衆議院の3分の2を占めることは考えにくく、“ねじれ国会”の下で政治が停滞する恐れもある」という専門家のコメントを紹介している。