日本、貿易収支15か月の連続赤字 背景にある3つの要因
財務省が21日、貿易統計速報を発表した。輸出額から輸入額を差し引いた9月の貿易収支は9321億円の貿易赤字で15ヶ月連続の赤字となり過去最長となった。
これまで最長記録だった第二次オイルショック時の1979年7月から80年8月の連続14ヶ月を上回って、33年ぶりに最長記録を更新した。また、9月単月でも貿易赤字額は9月として過去最大を記録している。
輸出入ともに前年比で二桁の伸び、輸出金額5兆9721億円(前年同月比11.5%増)で7ヶ月連続の増加、輸入金額6兆9043億円(16.5%増)で11ヶ月連続の増加となった。
輸出では、円安効果で自動車が29.9%増、鉱物性燃料72.8%増、有機化合物39.6%増に対し、輸入は通信機63.5%増、半導体等電子部品59.0%増、衣類・同付属品が24.5%増だった。
なお、RBS証券のエコノミストは、為替レートは対前年比平均20%の円安の状況であるとしながらも、円安で輸出が増加しても貿易赤字を好転させるには十分ではない、と分析している。
貿易赤字の要因の1点目として、IMF(国際通貨基金)は今月初め、世界経済見通しで経済成長率を下方修正したことが挙げられる。これは日本の輸出量にも影響をあたえるだろう、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は述べており、日本を取り巻く厳しい状況は依然続きうるものとした。
【なぜ連続赤字に?】
貿易赤字の要因の2点目として海外メディアは、石炭・石油などの化石燃料需要増や円安が影響していると、指摘している。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、2011年福島原発での事故に起因するという。事故後、ほとんどの原子力発電所が稼働停止したことで、事故前は約60%を火力発電に依存していたが、事故後火力発電への依存割合は90%にまで増加した。これにより火力発電用の燃料輸入額が増加したことが主な原因に思われる。
また、シリア情勢の影響により9月の原油が1バレル=110ドル前後と高い水準を維持していたことも、貿易赤字に拍車をかけている、として3点目の要因が報じられている。
【他国との間の輸出入は?】
対米輸出は、1兆1094億円(前年同月比18.8%増)で9ヶ月連続の増加。輸入は5763億円(前年同月比13.8%増)で6ヶ月連続の増加。貿易収支は5331億円で9ヶ月連続増加している。
対EU輸出は、6455億円(前年同月比14.3%増)で4ヶ月連続の増加。輸入は6699億円(前年同月比30.7%増)で12ヶ月連続の増加。貿易収支は244億円で9ヶ月連続の赤字である。
対中輸出は、1兆624億円(前年同月比11.4%増)で6ヶ月連続の増加。輸入は1兆6824億円(前年同月比30.9%増)で過去最大の輸入額。貿易収支は6200億円で19ヶ月連続赤字である。