解散総選挙を控えた日本-世界はどう報じているか?―
11月16日に衆議院が解散し、12月16日の総選挙に向けて各政党の動きが活発化する日本。民主党と自民党が経済政策を焦点とした争いをヒートアップさせている一方、中央集権の打破を掲げる「第三極」政党は、集結することでの相乗効果を狙っている。
海外紙は、2党の戦いと第三極の情勢について注目している。
【民主党vs自民党】
日本の新聞各紙の世論調査では、自民党が平均8.6ポイント差で民主党をリードしている。
政権奪取を目指す自民党は景気回復に焦点を置き、“脱デフレ”や2〜3%の物価上昇目標を掲げている。安倍晋三総裁は、日銀法改正と無制限の金融緩和に言及する、大胆な経済政策を打ち出した。これを受け、政権交代後の追加金融緩和に期待を寄せた外国為替市場では7ヶ月ぶりの円安となっている。
一方で民主党の野田佳彦首相は、日銀による建設国債引き受けを含む方針に対して「中央銀行の独立性に関わる。財政規律が緩む」と、フィナンシャル・タイムズ紙のインタビューの中で批判した。中銀による国債の引き受けは政府への資金供与となり、財政節度を失わせる上に、円の信任を守ることができなくなるという懸念からだ。実際アナリストは、安倍氏の政策は対症療法に過ぎず経済再生につながらないため、今後は軌道修正を余儀なくされるだろう、と予測しているようだ。
また野田首相は同紙のインタビューにて、尖閣諸島をめぐる中国との軋轢に関して日本の「右傾化」が懸念されている現状に対し、ナショナリズムの加熱を懸念している。中国の主張に対して「大局観を持って冷静に臨む」必要性と、国際法を順守した平和的な解決を主張しているという。野田首相は、日本国内のナショナリズムが極端になり排外主義に陥ることを危険視。原因について直接の言及は避けたが、野党の対中姿勢の強硬化が指摘されている。次期首相と目される自民党の安倍総裁が、尖閣諸島の防衛強化や、チベットの自由と民主を支持すると主張していることなどが取り上げられた。
【集結による相乗効果を狙う第三極政党】
石原慎太郎前東京都知事が率いる「太陽の党」が、橋下徹大阪市長が主導する「日本維新の会」に吸収される形で合併した。中央集権体制の打破を基本理念に、環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加や消費税の地方税化を目指す方針だ。世論調査では支持率が低迷している「第三極」政党だが、集結することで二大政党に対抗しうる選挙態勢の確立を狙うとみられる。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、彼らは支持率で二大政党から大きく引き離されているものの、世論調査回答者の多くが未だどの政党も不支持であると指摘している。今後も「第三極」内で集結し相乗効果を狙っていきたいところだが、方針の折り合いがつかず、バラバラになりつつもあり成果は未知数だ。なお、フィナンシャル・タイムズ紙は、石原・橋下両氏を国家主義的政治家と紹介し、党の合併を報じた。
これからの選挙戦を通じて第三極政党が存在感を増し、民主・自民両党が火花を散らす間に割って入ることができるのかが注目される。