オバマ大統領の外交課題―海外紙は、軍事問題をクローズアップ―
2期目に入るオバマ政権には、外交面での課題が山積みである。特に、核開発プロジェクトを進めるイラクとの交渉と、東シナ海から南シナ海一帯で覇権を狙う対中国対策が焦眉の急となる。
その他の懸案事項としては、ギリシア・スペインをはじめとしたユーロ圏の財政危機問題、ロシアとの核不拡散問題に関する合意、さらにはシリア内戦への姿勢が問われている。シリアではここ 1 年半ほどで 4 万人が死亡しており、レバノン、ヨルダン、イラク、トルコ国境に紛争が波及する恐れが高まっている。
海外紙は、対イラン、対中国においてポイントとなる要素を取り上げている。
【対中国政策】
フィナンシャル・タイムズ紙は、中国が日本の尖閣諸島の支配権に対して挑戦的な行動を強めていると報じるとともに、これが今後の東シナ海における中国の行動規範となるという見方を紹介している。また、同紙は、中国の武器システムが発達したため、東アジアにおける米国のオプションが限定されていると報じている。同様の問題について、ニューヨーク・タイムズ紙は、米国が東アジアにおいて強力な軍隊の存在感を示す必要があるが、財政政策についてホワイトハウスと議会が合意に達しなければ、国防総省が大幅な予算削減の危機にあると報じている。他方、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、日中間の領土問題がエスカレートすることによって、日本の同盟国たる米国が大きな役割を果たさなければならなくなるという懸念がアジア在住の米国高官たちから出ていることを取り上げている。
【対イラン政策】
フィナンシャル・タイムズ紙は、イランによる核開発問題が、二期目のオバマ政権が取り組まなければならない最重要の外交問題であると位置づけている。同紙によると、鍵となるのは、体制の保証を引き換えに核開発プログラムの制限を引き出せるかということと、来年予測されるイスラエルによるイランへの攻撃を阻止できるかということであると報じている。また、ニューヨーク・タイムズ紙は、数か月以内に米国がイラン政府と直接交渉することになるであろうと報じ、その時期が来年 6 月のイラン大統領選挙までであろうとする予測を取り上げている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、西側の制裁措置によりイランの通貨(リアル)が 40 % 下落したため、イラン政府が妥協するという期待が高まりつつあると報じている。