大統領選決選 両候補は「その日」をいかに迎えるのか
いよいよ、米大統領選が決戦日を迎えようとしている。米大統領選は、州ごとに数が定められた「選挙人」の数を競う。しかも、得票による配分ではなく、1票でも多く獲得した候補者が「総取り」するシステムだ。つまり、党のカラーが強い州の得票はすでに決まっている。勝負の分かれ目は、残るスイング・ステート(浮動州)をどう抑え、全米選挙人数の過半数である270票にどう到達するかだ。そして今回の大統領選は、この浮動州11州が、まさに蓋を開けてみないとわからない大接戦だとされている。調査によれば、オバマ大統領がほんのわずかに有利とされるが、その僅差は誤差程度だ。
両陣営ともに、自信をにじませ、各種の予想も、軍配を分かつ。海外各紙は両候補の最後の詰めの様子を伝え、予断を許さないもつれぶりを改めて浮き彫りにした。
フィナンシャル・タイムズ(英)は、浮動州の中でも特に、1964年以降、常に勝者に与してきた歴史をもつオハイオ州、なかでも、従来共和党が強いとされながら2008年にオバマ大統領が48年ぶりに奪取したハミルトン郡に注目した。同郡では、両候補者ともに、広告戦とドブ板選挙を展開した。水も漏らさぬ構えに食傷気味の市民もいるが、大方は、大きな注目と決定権がまんざらでもなく、思いを凝らして票の行方を決めている様子を紹介。両者互角の情勢を伝えた。
インタナショナル・ヘラルド・トリビューン(米)は今回の大統領選を、初のアフリカ系大統領の再選か、初のモルモン教大統領の誕生か、と位置付けた。両者ともに、最終盤の演説では、鋭い舌鋒がなりをひそめ「党を超えた、一つのアメリカ人」という論調が目立つことを指摘。政策論争ではなく、「期日前投票の正当性」をめぐる軋轢といった事柄を取沙汰せざるを得ない、終盤の混迷の深さをうかがわせた。
オバマ大統領は決戦前日の選挙運動をウィスコンシンで始め、オハイオ、アイオワへ移った。毎週末、浮動州でのマラソンを敢行してきたわりにはのんびり気味のスケジュールで、ウォール・ストリート・ジャーナル(米)はこれを回顧的な「総括」と表現。エアフォース・ワンに乗った最高司令部が、記念的な場所を巡り、火曜日には選挙日の「儀式」であるバスケットボールを行う予定であるなど、「ジンクス」までも重視せざるを得ない様子を浮き彫りにした。
一方のロムニー候補は、フロリダを皮切りに14州を飛び回り、「わずかながらのリードを守り、オハイオを押さえて勝利する」というオバマ陣営の方程式を覆す構え。火曜日の当日にも、オハイオ州に「びっくり訪問」を予定しているともされる。インタナショナル・ヘラルド・トリビューン(米)はそれに加えて、民主党寄りとされるペンシルヴァニア州に重点を移し、挽回を図ってきたという動向を伝えた。