米大統領選、最終盤の情勢

 11月6日の投票日を前にして、オバマ、ロムニーの両陣営はともに、自候補の当選に関して強気の認識を示している。ただし30 社余りの全国世論調査会社は、最後まで拮抗した戦いが続くものと見ている。ハリケーン上陸の影響もあり、予断が許されない情勢は続く。
 強気の発言をする両陣営の思惑はどこに?

The Wall Street Journalの報道姿勢―両陣営ともに勝利を語る理由―
 両候補の陣営によるキャンペーンを信用するならば、オバマ氏、ロムニー氏がともに勝利することになる。この矛盾する見解には理由がある。有権者の心理を選挙戦略として利用しようというのだ。有権者は、負けることを嫌う。ただし、圧勝しそうな候補者には肩入れしたくはない、という心理も働く。そのため、ロムニー氏側は、今月の世論調査で少しずつ支持率が高まっており、最後には急上昇する可能性があるとのキャンペーンを張っている。一方、オバマ陣営は、スイングステートのほぼ全州で拮抗しているかやや優勢かのどちらかであるとしている。
 このように同紙は、両陣営による勝敗予測も、選挙戦略の一環だと指摘している。

Financial Timesの報道姿勢―ロムニー氏の投資先―
 ロムニー氏がファンドに多額の投資を行なっていることを報じた。連邦政府の資産公開資料によると、ロムニー氏は少なくとも 2 年間、ヘッジファンドの Elliott Associates に最低でも 100 万ドルを投資している。ハリウッドへの投資も行っている Elliott Associates は、ロムニー氏の選挙キャンペーンに深く関わっている。他にもロムニー氏は、支持者でもあるD3 Family ファンドに対して多額の投資を行なっているようだ。さらに、自身の息子らが経営するプライベート・エクイティ・ファンドに対してもこれまでに最低でも 100 万ドルを投資していることが分かっている。

The New York Times の報道姿勢―選挙戦へのハリケーンの影響―
 大型ハリケーン「サンディ」がアメリカ東部へ上陸すると予想されている。大統領選の勝敗の鍵を握る州である「スイングステート」を直撃すると見られており、オバマ、ロムニー両氏ともこれらの地域での選挙遊説を中止した。
 ロムニー氏はバージニア州での予定をすべてキャンセルし、オハイオ州北西部で、遊説するライアン副大統領候補と合流した。参加 3,000 名の比較的小規模な集会で、両氏はオバマ大統領による公約の不実行や、失業率、財政赤字に関する失政を指摘しながら批判を繰り返した。オバマ大統領は予定を切り上げ、危機対応の準備に入った。

Text by NewSphere 編集部