オバマVSロムニー 2回戦はオバマが巻き返し

アメリカ大統領選 16日(日本時間17日)、大統領選の第2回直接討論会が行われた。前回の討論会ではロムニー氏が堂々としたパフォーマンスで評価を高め、守勢に回ったオバマ氏は「惨敗」と評された。そのため、オバマ氏がどこまで挽回できるかが注目されていた。
 なお今回はタウンミーティング形式で、事前に選ばれた約80人の有権者の質問に答えながら行われる予定だった。ただ実際には、両社とも時には相手の発言を遮るなど激論を交わした。各紙とも、白熱した討論会だったと評価した。

1.評価
 CNNらの世論調査によると、討論会で勝利した候補について、オバマ氏と答えた人は46%、ロムニー氏と答えた人は39%だった(統計上の誤差は±4.5%)。ほぼ互角の結果だが、劣勢だったオバマが挽回を果たしたといえるだろう。支持率についても拮抗状態は変わらなかった。
 各紙とも、オバマ氏が第一回討論会とはうってかわって攻撃的だったことに注目した。ロムニー氏も大統領と同じくらい攻撃だったとWSJは評している。

2.討論のポイントと政策の違い
<エネルギー・雇用>
 WSJは、エネルギー・雇用など内政問題が主要な争点だったと指摘した。
まず、オバマ氏は、風力発電など新しいエネルギー・資源への投資を支援すると表明。雇用増加にもつながると主張した。一方ロムニー氏は、ガソリン価格の高騰からオバマ氏のエネルギー政策を批判。自国内での石油・ガス確保を強化すべきという姿勢だ。
 ロムニー氏は、オバマ氏当選後の4年間、失業率が改善しなかったことを批判。さらにオバマ氏が4年前に約束した、「赤字半減」が果たされていないと厳しく非難。中間層や企業の減税で雇用機会を増やし、景気回復を実現すると主張した。一方オバマ氏は、ロムニー氏の政策は具体性に欠け、結局富裕層の優遇だと攻撃。雇用拡大のため、製造業を復活させると主張した。

<移民>
 NYTは移民についての議論も報じた。
 オバマ氏は、スキルをもつ移民受け入れがアメリカ経済復活に資すると主張。一方ロムニー氏は、オバマ氏が主張する不法移民への市民権条件の緩和を非難。移民問題について、壊れたシステムを立て直すと発言した。

<対中政策>
 ロムニー氏は、中国を為替操作国に認定すると主張し、強硬姿勢をみせた。オバマ氏は、ロムニー氏が中国企業に投資してきた過去をひき、態度の矛盾を指摘した。

<リビア問題>
 ロムニー氏は、駐リビア大使の殺害事件を取り上げ攻撃しようとした。しかしオバマ氏がロムニー氏を睨み付け、事件の政治利用を強く戒めた。WSJは、普段あまり感情を出さないオバマ氏が、珍しく激しく攻撃したと報じている。

 互角の戦いを繰り広げた両者にとって、ポイントはやはり、スウィングステート(勝負の行方を左右する浮動州)を中心とした浮動票の確保だと各紙は指摘した。なお、最後の討論会は22日(日本時間23日)に予定されている。

Text by NewSphere 編集部