アメリカ大統領選 討論会直前情報
10月3日(日本時間10月4日10時)、1回目の大統領選直接討論会がコロラド州デンバー大学で開かれる。討論会は完全生放送される。今回の議題は主に国内政策についてで、経済が中心。テーマごとに15分間×6回の討論を行う。
以下に、論点ごとに各候補の立場をまとめた。
1.経済成長
オバマ:中間層の引き上げ
-教育・技術開発に投資して長期的成長
-製造業を復活させて国内雇用創出
ロムニー:民間の競争力強化を支援
-減税、支出カット、規制緩和により、貿易、エネルギー、人材分野の強化を図る
2.財政赤字削減
オバマ:支出抑制と富裕層への税金引き上げ
-「ただし、教育などへの投資は惜しむことは、飛行機を軽くするためにエンジンを捨てるようなものだ」
ロムニー:社会保障などの支出抑制
-「増税や支出カットだけではうまくいかない。人々が仕事を得て、税金を支払い、企業がアメリカで成長することが重要」
3.税制
オバマ:財政赤字削減のためバランスをとる
-低所得者層にはブッシュ減税継続、富裕層には増税
ロムニー:より公平・均一・シンプルな税制
-富裕層の所得税引き下げ
-法人税減税
4.社会保障
オバマ:すべての国民に、より低いコストで提供
-”オバマケア”の実績を強調
ロムニー:高齢者への給付は現状維持
-”オバマケア”に対しては撤廃を宣言
5.FRBの役割
オバマ:独立性を尊重
-2010年にはバーナンキ議長再任を後押し
ロムニー:QE3(金融緩和政策)を批判
-バーナンキ議長を再任しないと明言
6.移民問題
オバマ:移民問題に寛容
-ドリーム法案成立に意欲(不法移民の子供の市民権取得に道を開く)
ロムニー:現状維持
-ドリーム法案には反対だが、規制強化を積極的に主張することもない
7.野党との協調
オバマ:停滞打破をめざす
-国民の支持が明確な2期目は、より積極的に圧力をかける
ロムニー:不確かな政策を明確に
-州知事時代の経験を活かせると自信
以上のような論点を踏まえ、アメリカの各メディアは討論会の行方を特集し、政治評論家などが激論を戦わせている。失言騒動などで現在劣勢のロムニー氏はディベートの評価が高く、支持率を高められるか、特に注目される。
討論会は選挙の行方に大きな影響を与えると言われ、実際に投票結果を覆したことが2回ある。まず1960年にケネディーがニクソンを破った時、そして2000年にブッシュ(子)がアル・ゴアを逆転した時だ。討論会では、政策の内容というより、テレビ映りや振る舞い、しゃべり方などが重要とされている。言葉や政策や写真だけではわからない部分が見受けられるためだ。