世界一でかい蜘蛛「ルブロンオオツチグモ」 大きさや値段について紹介
「世界一でかい〇〇」は世の中にたくさんある。今回は、その中でも蜘蛛にスポットを当てる。
時に人間にも被害をもたらす蜘蛛。刺されたり噛まれたりすると強い痛みを生じて毒が回ることがあり、症状が悪化した場合は命に関わる危険性もある。その生態は謎に包まれており、研究目的の飼育者はもちろん、主に観賞用としてペットにする愛好家も多い。
本記事では、世界一でかい蜘蛛「ルブロンオオツチグモ」の生態をはじめ、値段についても言及する。
世界一でかい蜘蛛「ルブロンオオツチグモ」
和名 | ルブロンオオツチグモ |
英名 | Goliath birdeater(ゴライアス バードイーター) |
学名 | Theraphosa blondi(テラフォサ ブロンディ) |
分類 | 節足動物 クモ綱 クモ目 オオツチグモ科 |
生息地 | ベネズエラ、ブラジル、ガイアナなど南米の熱帯雨林帯 |
寿命 | メス:15~20年ほど オス:3~6年ほど |
体長 | 10cm近く、脚を広げると20~30cm 広げた大人の両手の平より大きくなるものもいる |
世界一でかいと言われている蜘蛛は、南米一帯の熱帯雨林に生息する「ルブロンオオツチグモ」である。ギネスブック公認・世界最大の蜘蛛であり、ゴライアスバードイーターとも呼ばれている。
分類科目のオオツチグモは、いわゆるタランチュラのことで、ルブロンオオツチグモは「世界最大のタランチュラ」とも称される。
ルブロンオオツチグモの生態
ルブロンオオツチグモは、地中の穴の中で暮らしている。
体色は褐色がかった赤色をしており、体中にある刺激毛は身を守る役割がある。危険を察すると、銛のような形をした腹部の刺激毛を後ろ脚で擦り飛ばす。この刺激毛には要注意で、付着したときの痒みは激しく「毒よりも効果的な武器」と言われているほどだ。
また、ルブロンオオツチグモは攻撃的な性格をしており、他の蜘蛛同様、毒のある鋏角で獲物を噛み殺す。鋏角は身体に比例して大きく、噛まれると「小型犬に噛まれた」「スズメバチに刺された」ような痛みを感じる。
なお、人間に対する毒性はさほど強くない。素手で刺激毛に触れたり、刺されたり噛まれたりすると皮膚が腫れるが、数日で治ることがほとんどである。しかし、アレルギー反応によるアナフィラキシー・ショックで死亡した例があるので、手袋は必須アイテムだ。
バードイーターと呼ばれるわけ
ルブロンオオツチグモの英名は、「Goliath birdeater(ゴライアスバードイーター)」である。直訳するとGoliath(=異常に大きくて強力である人または物)birdeater(=鳥食い)、「巨大な鳥食い」である。
18世紀の彫刻には、ルブロンオオツチグモがハチドリを捕食している姿が残されているが、もっぱら鳥を食しているわけではない。小鳥は「食べることもある」程度で、野生では各種昆虫・トカゲ・カエルなど、脊椎のあるものを捕食している。
ルブロンオオツチグモは、その巨大な姿から「鳥をも食べる」と形容されているが、実は優しい蜘蛛なのである。
天敵はタランチュラホーク
ルブロンオオツチグモの天敵は、世界最大のハチとして有名なオオベッコウバチである。オオベッコウバチは別名タランチュラホークと呼ばれ、その由来は獲物である蜘蛛に向かって急接近する様子をタカに見立てたこととされている。
タランチュラホークは、オオツチグモを専門に狩するハチである。巨大蜘蛛を狩るために体が大きくなったと言われており、体長はオオスズメバチをも凌ぐ6cm以上におよぶ。
タランチュラホークの狩りは、攻撃をかわしながらスピードで蜘蛛を翻弄し、疲労困憊したところに攻撃を加える。実に完璧に近い勝利だ。
その後、狩った獲物を巣へと運び、幼虫の餌とするために卵を産み付ける。孵化した幼虫は、獲物となった蜘蛛を餌にして育つ。
具体的な大きさ
「世界最大の蜘蛛」の称号を持つルブロンオオツチグモの大きさは、開脚時で最大30cm、重さは小犬ほどの170gにもなる。一見すると、蜘蛛というよりも、大きくて毛深いネズミがいるようだ。
また、ルブロンオオツチグモは「歩くと足音が聞こえる唯一の蜘蛛」と言われている。
その足音は「硬い脚が地面を踏みしめ、重みで乾いた落葉の砕ける音がする」と表現される。
子孫を残すために
メスのルブロンオオツチグモは、直径30cm以上にもなる卵嚢(らんのう)に、50~150個の卵を産み付ける。卵嚢とは、卵を包んでいる丈夫な袋のようなもので、卵を守る役割がある。 孵化後、成虫になるまでの2~3年は、母グモと巣穴の中で過ごす。
ルブロンオオツチグモはメスの方が長生きで、最長で20年生きるものもいる。一方、オスの寿命は3~6年ほどと短く、ほとんどは交尾後に死んでしまう。
見た目のわりにデリケートなのも、ルブロンオオツチグモの特徴のひとつだ。湿度過多や乾燥・低温に非常に弱く、簡単に死んでしまうこともある。体の大きさと気性の荒さからは、イメージしにくいだろう。
食べるとまるでエビ
日本では信じられないが、南米北東部に住む人々の多くは、ルブロンオオツチグモを「美味しい食べもの」として認識している。その大きさゆえ、捕獲するまでが大変そうである。
ここで驚きの食リポを紹介しよう。ルブロンオオツチグモは風味がよく、歯ごたえはしっとり・ねっとりとしている。白い筋肉は、スモークしたエビのような味がするそうだ。内臓は加熱することで、ねばねばからじゃりじゃりとした砂まじりの食感に変わり、味は苦いという。
以下に南米流の調理方法を記す。
1.刺激毛を火で炙り、バナナの葉にくるんで蒸し焼きにする。
2.腹部の中身を、バナナの葉の中で固くなるまで加熱する。
なお、2cmほどの鋏角は、歯の間に詰まった蜘蛛の外皮を取るための爪楊枝として重宝するそうだ。楊枝(鋏角)が内蔵された食事とは、なんとありがたいのだろう。
ルブロンオオツチグモはいくらで手に入る?
ルブロンオオツチグモは、愛好家がペットとして、さらに研究者が生態の研究を目的として飼育する場合がある。ブリーダーも多く、実店舗はもちろん、通信販売やオークションを利用すれば手に入れるのは比較的簡単だ。
注目したいのはその値段であり、成体だと15,000~35,000円前後、サイズが大きいと40,000円近い値段で取引されている。ハエトリやゴキブリ対策で蜘蛛を飼う人もいるが、そのような場合は高くても1,000円ほどだ。ルブロンオオツチグモのようなタランチュラが、いかに注目を集めているかが分かる。
なお、飼育などでルブロンオオツチグモを扱う際は、間違っても素手で触らないように注意が必要だ。刺激毛に触れるとひどい痒みを生じるため、手袋をすることを強く推奨する。
世界一でかい蜘蛛も生態系では食物連鎖の一部
世界一でかい蜘蛛にもなると、天敵は少ない。しかし、生態系の中では食物連鎖の一部に過ぎず、ルブロンオオツチグモを捕食する階級がいるのも事実である。人間である私たち自身も食物連鎖の一部であることを理解し、よりよい共生に努めよう。
そして、ルブロンオオツチグモを目にする機会があったら、そのときはぜひ本記事を思い出して観察してみてほしい。もちろん、刺激毛と鋏角には十分ご注意を。
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