韓国、出生率世界ワースト2位…その背景は? CIA予測の出生率ランキング

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◆経済成長や男女の役割の変化も影響
 アルジャジーラは、経済成長と生活水準の向上によって子供の死亡率が低下し、結果として夫婦が子供の数を抑えるようになったと指摘する。

 米教育・研究機関のイースト・ウエスト・センターのアナリストは同局に、経済成長を遂げたこと、そして女性の教育機会が増加したことが背景にあると指摘している。女性が伝統的な役割に縛られなくなり、これにより、結婚や出産を選択しない女性が増えているとの見方だ。

 もっとも、コペンハーゲン大学のアヨ・ウォールバーグ教授(人類学)は、これだけでは説明が不十分であるとの持論を示す。氏によると、男女ともに労働時間の長時間化がみられ、その結果として育児に割ける時間とエネルギーが減少しているという。(アルジャジーラ)

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 出生率で下位6つの国と地域は、戦禍のウクライナを除き、東アジアが占める。227の国と地域中、出生率で193位と比較的下位に位置する中国では、「996労働時間制度」がある。朝9時から夜9時まで、週6日働くことが求められる制度だ。ウォールバーグ教授はこのような状況では子供の世話をする時間がないと指摘する。

 韓国や中国、日本など、東アジアを中心に、出生率をとりまく展望は厳しい。

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Text by 青葉やまと