韓国、出生率世界ワースト2位…その背景は? CIA予測の出生率ランキング
◆子育てに時間を割けない労働環境
なぜ韓国の出生率は世界最低水準にまで落ち込んだのか。英イブニング・スタンダード紙(5月13日)は、韓国の女性が職場でのキャリアの停滞や子育ての経済的負担を懸念しており、その結果として出産を遅らせ、あるいは子供を持たないことを選択する場合があると指摘する。
韓国は経済開発協力機構(OECD)加盟国のなかで最も大きな男女賃金格差を抱えている。同紙は、ソウル女子大学のチョン・ジェフン教授のコメントを取り上げている。韓国の女性は男性の約3分の2の収入しか得られないとの指摘だ。一方、子育てをする女性は長期間休職する必要があるが、賃金格差はさらに拡大する。こうした事情も、子供をもうけにくい理由の一つになっているようだ。
韓国では育児休暇が認められているが、利用は進まない。アメリカの首都ワシントンに拠点を置く非営利団体、人口問題協議会のジェニファー・スクバ代表は、健康と人口動態問題を取り上げるシンク・グローバル・ヘルスに対し、「韓国では出産には比較的ユニークな制約がある」と語る。スクバ氏によると、韓国には厳しい労働文化があり、従業員は会社側に期待されている役割を考慮するため、休暇を利用する人は男女ともほとんどいないという。
韓国統計庁は、「結婚していない人もいるが、結婚しているカップルがなぜ子供を持たないのかを考えることが、出生率向上のための政策の焦点になる」と述べ、結婚数自体の増加を優先しない方針を示した。だが、浸透しない育児休暇制度を鑑みるに、展望は厳しそうだ。
さらに韓国では、急進的なフェミニスト運動「4B」が存在する。男性との交際、結婚、男性との性行為、出産の4つを拒否する運動だ。シンク・グローバル・ヘルスによると、一部の識者は、4B運動も出生率の低下の原因の一つになっていると論じている。