ティタノボア|絶滅した史上最大の蛇の正体は?生態や最強の理由に迫る
ティタノボアは絶滅した史上最大の蛇である。南米の熱帯雨林地帯にすみ、巨大なワニを捕食できる圧倒的な強さを誇っていた。一方で、気候の変化に対応できず、生息期間は極めて短かったという。近年は人気ゲームのキャラクターとして登場したのがきっかけで、若者にもその名が知られるようになった。
そこで、本記事ではティタノボアの正体に迫ってみる。
目次
ティタノボアとは?
ティタノボアは、古代に実在した史上最大と考えられている巨大な蛇である。とはいえ、その存在が発見されたのは意外と遅く、21世紀に入ってからだった。ここでは、その概要を説明する。
分類 | 爬虫綱、有鱗目、ボア科、ボア亜科、ティタノボア属 |
学名 | Titanoboa(和名:ティタノボア) |
全長 | 約12~15m |
体重 | 約1,135kg |
生息時期 | 6,000万~5,800万年前(地質時代の区分では暁新世にあたる) |
生息場所 | 南米(コロンビアで化石が出土)の熱帯雨林地帯 |
ティタノボアの化石はコロンビアの炭鉱で発見
2009年、フロリダ大学の古生物学者とパナマのスミソニアン熱帯研究所の古植物学者が率いる国際科学者チームの遠征で発見。コロンビアのラ・グアジーラ県の炭鉱内で、28個体ものティタノボアの化石が見つかった。
それまでは、南米の暁新世の熱帯地層から脊椎動物の化石がごくわずかしか発見されていなかった。
脊柱の化石を現存する蛇と比較したところ、最大全長12~15m、体重は約1,135kg、体の最も太い部分の直径は1mと見積もられた。この結果により、すでに知られている蛇の中で最大であることが判明した。
ティタノボア発見以前の最大の蛇はギガントフィス
ティタノボア発見以前まで最大の蛇だとされていたのは、およそ3,700万~3,500万年前に生息していたと考えられているギガントフィスだ。推定全長の最大値が10.7mとの研究結果がある。体重でいうと、最も重いとされていたのは、グリーンアナコンダだ。推定で227kgの化石が発見されている。
よって、ティタノボアは従来の最大と考えられていたものよりも、全長では2~5m長く、体重も約5倍となり、圧倒的な大きさであることが分かる。
なお、現存する蛇で最大なのは、オオアナコンダやアミメニシキヘビ。最も大きなものになると、全長10ⅿ近くといわれている。
ティタノボアの全長が史上最大の理由は気候の暖かさ
ティタノボアが生息していた時代は、現在よりも暖かく、変温動物である蛇が今より大きくなることが可能だったと考えられている。今も大きな変温動物が熱帯地域にいて、小さいものは赤道から離れた地域に生息していることが、それを裏付けている。
しかし、この推測を否定する研究結果も存在するなど、明らかになっていない部分も多い。なお、名前のティタノボアは、「巨大なボア」という意味だ。主に中南米で生息している大型の蛇、ボアの祖先と見られている。
体が大きいだけあって餌も巨大な生物だ。ティタノボアの化石とともに捕食されたと考えられるワニの化石も発見されたため、ワニを食べていたと見られている。当時のワニは現在よりも大きかったと考えられ、それを締め上げ丸のみにできるティタノボアは、まさに敵なしの強さといえるだろう。
ティタノボアは最強か?
生態系の頂点に君臨していたといわれるティタノボア。ワニを捕食できるほどの圧倒的なパワーを持ち、すでに滅びていた恐竜と対決したらどうなるか、とよく引き合いに出されるほどだ。そのような猛者でも、環境の変化には成すすべもなかった。
ティタノボア対ティラノサウルスは互角の勝負
恐竜と同時代に存在していたら、いい勝負になっていただろうという見方もある。しかし、機動力に難があるティタノボアの圧勝とはいかないだろう。ただし、相手の体に巻き付き、締め上げれば、恐竜とて逃れることは容易ではないはずだ。
対ティラノサウルス戦は想像するだけで面白い。最大のもので全長13mかつ9tと、獣脚類の中で現在のところ史上最大級の体格を誇る種の1つと考えられているティラノサウルス。体格的にはティタノボアを圧倒している。もし、踏みつけられれば、ひとたまりもない。どちらが自分の土俵で戦えるかが勝負の分かれ目だろう。
ティタノボアの力はその体格から相当なものといえよう。どのような動物でも窒息させられるだけでなく、相手の骨まで砕けたと考えられている。
なお、恐竜はティタノボアの登場以前である6600万年前に絶滅しており、両者は同時代に存在していない。
ティタノボアの絶滅理由は気候の変化
ティタノボアは、温暖なごくわずかな時代に隆盛を誇った。変温動物である蛇は、自ら体温調整できる。しかし、体があまりにも巨大化したため、体温調整が困難になったと考えられている。よって、一定の温度以外の状況下では活動はできず、度重なる環境の変化には対応するのが難しかったようだ。
生物の中では敵がいなかったティタノボアも気候の変化には弱く、それゆえに絶滅したと考えられている。
なお、絶滅した史上最大の蛇であるティタノボア発見の意義の1つは、その大きさなどから当時の地球の気候を知る手がかりになることだ。
ティタノボアが人気ゲームARKに登場
出典:Amazon
絶滅したはずのティタノボアが現代に復活した。ARKという人気恐竜サバイバルゲームに登場し、注目を集めている。
ARKは恐竜や古代生物の宝庫
若者を中心に支持を得ている大人気のゲームで、『ARK: Survival Evolved』が正式名称。ジャンルは、恐竜や古代生物がいる世界でのサバイバルアドベンチャーだ。サバイバーである主人公は初め、石のおのなど簡単な物しか作れない。しかし、修業や経験を積んでいき、成長し強くなっていく。強力な武器や近代的な施設なども作れるようになるのだ。
2015年にPCゲームのダウンロード販売におけるプラットフォームとして最大級であるSteamで販売が開始された。半年たたない間に4万件のレビューを集め、人気に火がついた。以降ゲーム機に対応したソフトも発売されるなど、今なお好評を博している。
PCやプレイステーションなどのゲーム機でプレーでき、シングルプレイモードとオンラインサーバーを使ったマルチプレイモードがある。大人数でプレーできるのも魅力の1つといえよう。
ARKでティタノボアをテイム
ゲーム内では恐竜や動物を飼いならすことをテイムと呼んでいる。ほとんどのキャラクターでテイムが可能だ。大きく分けると、気絶させたり、近づいたりして餌を与える方法がある。テイムすると騎乗して移動手段として使え、探索や戦闘に一緒に連れて行ける。
テイムした恐竜や動物は、レベルアップするため、主人公のみならず、味方にした敵も成長するところがARKの面白さの1つだ。
テイムの方法は、キャラクターにより異なるものの、ティタノボアもテイムできる。ティタノボアのテイム方法や出現場所が気になって、インターネットで検索している人も多い。ゲームに登場したことでティタノボアだけでなく、恐竜や古代生物に興味を持つ人が急増している。
ちなみに、ゲーム内には恐竜も存在するためか、ティタノボアは攻撃的なキャラクターではあるが、最強といえるほど圧倒的な強さではない。
ティタノボア以外にもすごい生物を探してみよう
史上最大の蛇、ティタノボアを紹介したが、古代は現代とは気候も違い、今とは全く形態や大きさの違う生物がいた。ティタノボアがいた少し前の時代には恐竜も生存しており、その巨大さや強さは圧倒的だった。これをきっかけに古代の生物にも興味を持ってみてはいかがだろうか。