「寿命が長い都道府県」ランキング 「長寿県」「短命県」それぞれの理由は?
日本は世界有数の長寿国だが、平均寿命(0歳の平均余命)の傾向は都道府県によっても異なる。厚生労働省は、5年ごとに都道府県別の状況を発表している。最新となる2022年発表の「令和2年(2020年)都道府県別生命表の概況」によると、平均寿命は全国の男性で81.49年、女性で87.60年となった。しかし、住む場所によっては平均でこれよりも1年ほど長生きしたり、2年ほど早めに生涯を終えたりする可能性があることがわかってきた。
◆日本一の長寿県・滋賀県
同報告書によると、男性の平均寿命が最も長いのは滋賀県で82.73歳、次いで長野県の82.68歳、奈良県の82.40歳となっている。一方、最も短いのは青森県で79.27歳だ。女性では岡山県が88.29歳で最も長く、次いで滋賀県の88.26歳、京都府の88.25歳となっている。最も短いのは青森県で86.33歳となった。
滋賀県の人が長寿である理由について、いくつかの要因が挙げられる。まず、食生活の改善が大きな要因とされている。また、食塩の摂取量が少ない傾向にあり、健康的な食生活が、寿命に大きく寄与しているようだ。
さらに、滋賀大学データサイエンス学部などが平成30年に発表した「データを活用した滋賀県の長寿要因の解析」によると、滋賀県では、ウォーキングやスポーツなど健康的な運動習慣が浸透している。
こうした運動習慣は健康寿命と有意な正の相関を示しており、ウォーキングをはじめとする総合的なスポーツ行動者率が高いことが長寿に寄与しているという。加えて、趣味や娯楽、学習・自己啓発・訓練などの活動も滋賀県では盛んであり、これらの活動が健康寿命を延ばす要因となっている。
さらに、滋賀県では医療サービスの充実も長寿に寄与している。国立保健医療科学院生涯健康研究部の横山徹爾部長が著した「健康寿命の地域格差とその要因に関する研究」では、滋賀県ではがん検診受診率の向上策が進んでいると論じられている。
加えて、医療の充実もプラス要因だ。通院者率が高い都道府県は健康寿命が短いとされるが、滋賀県では適切な医療サービスが提供されているため、健康寿命が延びていると考えられる。
以上のように、滋賀県が長寿である理由として、食生活の改善や、健康的な運動習慣の浸透に加え、地域全体での健康意識の高さ、医療サービスの充実など、多岐にわたる要因が複合的に影響していると考えられる。