増える「熟年離婚」の割合、その背景に何が? 2段階の危機、離婚を回避するヒント

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◆離婚を避けるために
 熟年離婚は人生の一つの選択肢であり、恥ずべきことではない。しかし、より長く添い遂げたいと考えているならば、熟年離婚を回避するためのいくつかのヒントがある。

 心理学者のトラヴァース氏はフォーブス誌への寄稿で、熟年離婚には2つのステップを経て至ると述べている。第1段階は、「疎遠になりながらもまだ一緒にいる」状態だ。不貞や暴言、性格の不一致などで相手から心が離れつつも、まだ離婚には至らない。「子供たちのため」と踏ん張ったり、世間体を気にしたりすることで離婚には踏み切れないでいる。

 だが、苦痛が限界に達すると、第2の段階である「結婚生活の終わりを悟る」状態へと移行する。相手の不誠実さや経済問題など、何らかの致命的な事象を迎えたこと、さらには子供が巣立って「空の巣」状態になったことなどが重なり、離婚を決断するという。

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 トラヴァース氏は、2つのステップを経て離婚に至った事例を複数挙げ、「こうした繊細なストーリーは、夫婦間の緊張の兆候を早期に発見し、迅速に対処する必要性を私たちに気づかせてくれます」と述べている。

 離婚は経済的にも不利だ。米公認ファイナンシャルプランナーのエリザベス・ウィンディッシュ氏は、全米日刊紙のUSAトゥデイ(1月28日)に、「(夫婦の)どちらかが経済的に得をするというシナリオは、見たことがありません」と語る。別居すれば支出は増えるばかりであり、元夫は慰謝料を払うことも多い。元妻の側も、慰謝料を受け取ったとしても、決して多くは手元に残らないという。

 熟年離婚を避けたい場合は、危機がまだ深刻でないステップ1の段階で食い止めることが肝要のようだ。相手と率直に対話し、互いの不満点を話し合うことが糸口となるだろう。

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Text by 青葉やまと