増える「熟年離婚」の割合、その背景に何が? 2段階の危機、離婚を回避するヒント

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◆海外でも増えている熟年離婚
 熟年離婚の増加は、海外でも同じ傾向にあるようだ。心理学やメンタルヘルスを扱う米メディアのベリー・ウェル・マインド(5月22日)は、1970年以降、中高年層の離婚率がアメリカでも増加していると述べている。1970年には熟年離婚は比較的珍しかったが、1990年までにかけてわずかに増加した。

 その後は、さらに顕著な増加傾向となっている。1990年には50歳以上の夫婦のうち8.7%が離婚を迎えていたが、2019年にはその割合が36%にまで増加した。特に65歳以上の人々の離婚率の増加が目立つ一方、20代や30代の離婚率は近年減少しているという。熟年層の離婚が目立っている状況だ。

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 米心理学者のマーク・トラヴァース氏は、米フォーブス誌(7月8日)への寄稿で、一般的に50歳以上の高齢者が結婚生活に終止符を打つ現象が、「グレイ・ディヴォース(灰色の離婚:髪に白髪が交じる年齢で起きることから)」の名で知られている、と解説している。

 オーストラリアでも熟年離婚が増えている。豪公共放送ABCは、オーストラリア家族問題研究所の2021年のデータをもとに、熟年離婚の状況を報じている。それによると1980年代や1990年代には、20年以上の婚姻期間を経た「熟年離婚」は、離婚件数全体の約5分の1に過ぎなかった。だが、2021年には、全離婚件数5万6244件のうち、実に4分の1以上を占めるようになったという。

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Text by 青葉やまと