アメリカの若者が「移住したい国」、日本3位 言語習得にも積極姿勢

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◆現実的なZ世代、挑戦もいとわない
 他国からの移民を多く受け入れ、特に都市部では英語以外の言語を耳にする機会も多いアメリカだが、ランキングを見ると、トップ2のイギリス、カナダはともに英語が公用語となっている。加えて、オーストラリア、アイルランド、ニュージーランドなどの名前も挙がり、移住を考えるなら英語圏を選んだ方が現実的だという若者の思考が見て取れる。

 アンケートの回答者が本気で将来的な移住の可能性を検討していることや、「現在、英語以外の言語を話すことができますか」という質問に67%が「いいえ」と答えていることから、文化や公用語が今の自分の環境とあまりにも異なる環境での生活は現実的ではないだろうという、地に足をつけた発想を持っていることがうかがえる。

 反対に、多様性と変化を積極的に受け入れるZ世代らしく、新しい言語の習得もいとわないという若者も多い。トップ20に挙がった国々を見ると、英語圏に続き、スペイン語、フランス語などを公用語とする国が多い。スペイン語やフランス語は、英語話者が比較的習得しやすい言語と言われているが、異なる言語であることは間違いなく、習得にはある程度の時間を費やして、努力しなければならないことは確かだ。

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 さらに、一般的に英語話者が習得までに最も時間がかかると言われるアジア言語を公用語とする国も、3位の日本、15位の韓国が上位に挙がっている。「移住先の現地語を習得する気持ちはどの程度ありますか」という質問には4.17というスコアが出ており(習得する気持ちの強さを1~5の数字で回答。「5」に近いほど強い気持ちを示す)、移住を決行するなら現地語を話し、現地のコミュニティに溶け込みたいと希望する若者の姿勢が見て取れる。

 また、「海外にどれくらいの期間住むことを考えていますか」という質問には、「無制限」と答え、完全な移住を検討している若者は34.3%、「1年から3年」と答えた若者は32.8%に及ぶ。この数字から、現実的に可能な範囲で考えたいという安定志向と、新しいものを求めて苦労もいとわず、挑戦してみたいという、2つの側面を持ち合わせていることがわかる。

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Text by 西尾裕美