あわや衝突、ニアミスしていた小惑星 接近も気づかず 都市消滅の危険
恐竜を絶滅へと追いやった隕石は、人類にも脅威となり得るだろうか? およそ6600万年前、直径10キロ超の隕石が地球に落下したことで、恐竜の繁栄は終わりを告げたと言われる。一方、直近では2019年と2020年に小惑星が相次いで地球に接近し、通過後あるいは直前まで誰にも発見されないという事態が発生した。いずれも人類の存続が懸かる大きさのものではないが、地上に落下すれば一つの都市が消え去る危険性をはらんでいた。
♦︎密かに過ぎていた衝突の危機
今年6月、ある小惑星が地球のごく近くまで接近しながら、天文学者たちが事前の検知に失敗するという出来事があった。「2020 LD」と名付けられたこの小惑星は6月5日、月の軌道の内側という至近距離まで地球に接近している。最初に存在が知られたのは、通過から2日後のことであった。
小惑星の大きさは直径122メートルほどだ。月までの距離の80%にまで接近した後、幸運にも地球に落下することなく通過している。米フォーブス誌に寄稿するサイエンス・ジャーナリストのジェイミー・カーター氏は、この規模の惑星がこれほど間近まで接近したのは、2011年以来であったと指摘する。
英エクスプレス紙(6月17日)は「シロナガスクジラ5頭分」と例え、2020 LDのサイズの大きさを強調する。同紙は地球への接近について「専門家たちは6月7日まで発見できなかった」「天文学者たちは混乱していた」と述べ、観測体制の不足を憂慮している。