1000年前の種から聖書にある「治療薬」の樹が復活か 研究

「シェバ」と同じコミフォラ属の植物の葉|Vinayaraj / Wikimedia Commons

◆1000年の時を越えた芽生え
 数週間後、種は約1000年前の眠りから覚め、見事に発芽した。サロン博士はCNNに、「約5週間半経つと、この小さな芽が顔を出したのです」と語っている。発芽後は順調に成長した。ライブ・サイエンスによると、現在では人間の背丈を超え、約3メートルの高さにまで成長している。

 サロン博士は、その樹を「シェバ」と名付けた。樹液が樹枝状に固化した「バルサム」を、アラビアからソロモン王に献上した、シェバ女王(シバの女王とも)に敬意を表してのことだ。

(a)種まき前の古代の種子、(b)発芽5週間、上胚軸と種皮に覆われた子葉、(c)苗木(6ヶ月)、(d)樹皮が剥がれる(12年)、(e)細い毛のある葉(12年)、(f)成熟木(12年)|(a)および(cからf)はGuy Eisner氏より、(b)はElaine Solowey博士より

 シェバの成長過程を通じ、研究チームはその形態学的特性を丹念に観察した。シェバは薄い紙状の樹皮を持ち、緑色の表皮が露出している。落葉性であり、12月から4月の涼しい時期に葉を落とすことが分かった。

 ただしCNNによると、まだ花を咲かせたり種子を実らせたりしていない。このため、研究チームをもってしても完全な同定にはいまだ至っていないという。

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Text by 青葉やまと