1000年前の種から聖書にある「治療薬」の樹が復活か 研究
イスラエルなど国際研究チームは、約1000年前の種子から「シェバ」と呼ばれる植物を発芽させ、樹に育てることに成功した。種子は1980年代にユダヤ砂漠の洞窟で発見されており、遺伝子解析やその他の特徴から、聖書に登場する治療薬が採取される植物「ツォリ」の関連種である可能性あるという。研究論文が9月、学術雑誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。
◆80年代調査で発掘された種子
シェバの種子は1980年代、ユダヤ砂漠の洞窟で行われた考古学調査の際に発見された。米CNN(10月3日)によると、洞窟はエルサレム北部のワディ・エル・マックク地区に位置する。種子以外にも、多くの考古学的発見がなされている一帯だ。
その後の放射性炭素年代測定により、種子は約1000年前のものであることが判明した。研究チームは、現在のイスラエル、パレスチナ、ヨルダンを含むレバント地方南部に分布していた樹木種がかつてあり、種はその生き残りである可能性が高いとみる。
発掘当時、種子は非常に良好な状態で保存されていたが、何の植物の種かは不明であった。科学ニュースサイト『ライブ・サイエンス』は、その後の研究により、カンラン科コミフォラ属の可能性が示唆されたと伝えている。アフリカ、マダガスカル、アラビア半島に広く分布し、芳香性の樹脂を分泌することで知られている。