「目に指を…」サメに右脚を奪われた男性が語る、生還までの一部始終

画像はイメージ(Albert Kok / Wikipedia Commons)

サメに襲われ、右脚のひざから下を失ったオーストラリアの男性が、命がけの格闘と生還までの一部始終を語った。男性は海中に引きずり込まれながらサメの目を狙って抵抗し、必死の思いで岸に近づいたという。

被害に遭ったのはプロの消防士でサーファーのメル・イスマイルさん。9月14日、オーストラリア西部ジェラルトン近郊のグレンフィールドビーチでサーフィンをしていたところ、サメに襲われた。

◆イルカだと思った直後、海中へ引きずり込まれる
イスマイルさんは10月8日に放送されたオーストラリア放送協会(ABC)のインタビューで、事件当時の様子を初めて公に語った。

波が砕ける場所より沖側でボードに座っていたところ、約20頭のイルカの群れが見えた。その直後、大きな何かに衝突されたという。

「最初はイルカにぶつかられたと思いました」とイスマイルさん。しかし次の瞬間、何かに体をつかまれ、水中へ引きずり込まれた。「サメだとわかりました」と振り返った。

イスマイルさんは、サメに脚をかまれる直前、相手がウインクしたように見えたという。「大きな黒い目が見えました。サメがこちらにウインクしているようでした。引きずられながら、その目に指を突っ込もうとして、押していました」

ホホジロザメやアオザメなど、まぶたを持たないサメの一部は、獲物を攻撃する際に眼球を奥へ回転させ、目を保護することがある。ただし、イスマイルさんを襲ったサメの種類はまだ特定されていない。

◆右脚を失いながら、自力で岸へ
右脚のひざから下を失い、大量に出血していたイスマイルさんは、沖合に取り残された。それでも波を一つ捉え、岸に向かって約20メートル進むことができた。

息が切れ、力も尽きかけていたとき、砂丘を下って浜辺に向かうサーファーのシャナン・ダンさんの姿が見えた。救助に駆けつけたダンさんは、イスマイルさんを自分のボードに乗せるのを手伝った。

ダンさんは目を大きく見開き、最初に「サメはどこだ?」と尋ねたという。イスマイルさんは「わからない。こっちも今、いろいろ大変なんだ」と答えた。

2人が浜辺に戻ると、その場にいた人がサーフボード用の足首につなぐコードを使って止血帯を作り、別の人が救急車を呼んだ。

さらに10代の若者2人が、イスマイルさんをダンさんのSUVに乗せるのを手伝った。一行は救急車と合流するため、浜辺を車で移動した。

「車の後部には、笑わせてくれたり、励ましてくれたりする人たちが大勢いました。そのおかげで生き続けられたんです」とイスマイルさん。周囲の人たちと拳を合わせて喜びを分かち合い、「助かるかもしれないと思い始めました」と振り返った。

◆それでも再び海へ
イスマイルさんが襲われた4日後には、約400キロ南に位置するパース近郊の海岸で、63歳の男性が大型のホホジロザメに襲われて死亡した。

オーストラリアでは今年、サメによる死亡事故が5件発生している。オーストラリア・サメ事故データベースによると、2000年以降の年間死亡者数は平均2〜3人となっている。

恐ろしい体験を経て右脚の一部を失ったイスマイルさんだが、海から離れるつもりはない。今後はボディーボードで再び波に乗りたいと語っている。

※この記事はAP通信の記事を抄訳したものです。
By ROD McGUIRK Associated Press

Text by AP