子供にエナジードリンクは危険? 医師が警告する「飲み過ぎ」のリスク

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 ショーン・クライプ氏と妻のハイディ氏は、高校からかかってきた電話を今も忘れられない。息子のデービスさんが救急搬送されたという知らせだった。

 「格好をつけようとして、エナジードリンクを一気飲みしたんです」とショーン氏は、約10年前の出来事を振り返る。

 当時16歳だったデービスさんはその後、心拍のリズムが乱れ、死亡した。こうした死亡例はまれだが、アメリカの医師らは以前から、エナジードリンクに含まれる大量のカフェインが子供に深刻な影響を及ぼす可能性があると警告してきた。不整脈や心拍数の増加、睡眠障害、脱水、興奮、高血圧、けいれんなどを引き起こす恐れがある。

 最近では、エナジードリンク大手モンスター・エナジーと、アメリカの大学スポーツ組織「ビッグ12カンファレンス」とのスポンサー契約を受け、医師らによる新たな団体がこうしたリスクを改めて訴えている。

 団体は、デービスさんを含む3人の子供の死亡例を挙げ、ビッグ12側にスポンサー契約を一時停止するよう求めるとともに、全米大学体育協会(NCAA)にも、若者を対象としたエナジードリンクのマーケティングについて検討するよう要請した。

◆「スポーツドリンクではない」
 活動に参加するアイダホ州の心臓専門医マシュー・ネルソン氏は、大学や憧れのアスリートがエナジードリンクを宣伝すれば、子供たちが「スポーツドリンクと同じようなものだと思ってしまう」と懸念する。

 しかし両者は別物だ。アメリカ疾病対策センター(CDC)によると、スポーツドリンクは運動で汗をかいた際に失われた水分や電解質を補うことを目的としている。一方、エナジードリンクには多量のカフェインなどの刺激物が含まれることがある。

 アメリカ小児科学会など複数の医療団体は、子供や10代はエナジードリンクを避けるべきだとしている。

 それでも、若者による摂取は珍しくない。ミシガン大学が実施する連邦政府支援の調査「Monitoring the Future」の最新結果では、エナジードリンクを毎日飲むと答えた割合は、高校3年生で23%、高校1年生で20%、中学2年生で18%に上った。

◆1本でカフェイン300mgの場合も
 エナジードリンクに含まれるカフェイン量は商品によって大きく異なり、1回分で80〜300mgほどになる場合がある。

 比較すると、一般的な8オンス(約240ml)のコーヒーには約80〜100mg、炭酸飲料の一部には50mg以下のカフェインが含まれる。

 アメリカ小児科学会は、12〜18歳のカフェイン摂取量を1日100mg以下に抑えるよう推奨しており、それより小さい子供についてはカフェイン自体を避けるよう勧めている。

 カフェインなどの刺激物は心拍数を上げ、神経系の反応を活発にする。

 同学会の栄養委員会委員長を務める小児科医タマラ・ハノン氏は、これをミキサーを長時間回し続け、モーターが過熱する状態にたとえる。

 刺激物を摂りすぎれば、「心臓に負担がかかり、神経系が正常に機能しなくなり、非常に深刻な結果につながる可能性がある」と説明する。

 一方、「カフェインを飲むと身長が伸びなくなる」という俗説については、ハーバード大学医学部の専門家らによると、科学的に有効な根拠はない。

◆複数の飲み物から摂るカフェインにも注意
 高血圧などの持病がある子供は特にリスクが高いが、健康な子供でも刺激物を摂りすぎれば深刻な症状が起こる可能性がある。若いアスリートも例外ではない。

 さらに注意が必要なのが、1日のうちに複数の飲み物からカフェインを摂取するケースだ。

 2017年に死亡したデービスさんも、エナジードリンクだけを飲んでいたわけではなかった。当時の検視官によると、死亡した日の早い時間帯に、炭酸飲料「マウンテンデュー」とマクドナルドのラテも飲んでいた。

 デービスさんに心臓病の既往歴はなく、エナジードリンクを常飲していたわけでもなかったが、その後、不整脈を起こした。

 父親のショーン氏は「健康によくないとは伝えていました。でも、命を落とす可能性があるとは理解していませんでした」と話す。

◆業界側「子供向けには販売・宣伝していない」
 モンスターなどエナジードリンク市場の94%を占める企業が加盟するアメリカ飲料協会は、加盟企業が商品ラベルにカフェイン量を表示し、「子供や妊娠・授乳中の女性、カフェインに敏感な人には適さない」などの注意書きを記載していると説明する。

 また、幼稚園から高校までの学校では、エナジードリンクを販売したり宣伝したりしていないとしている。

 モンスター・エナジーも声明で、カフェインなどの成分は幅広い食品に含まれているとしたうえで、エナジードリンクは世界で30年以上販売され、1000億本以上が安全に消費されてきたと主張した。

 子供を守るため、CDCは教師や指導者が、カフェインの過剰摂取による危険性や、エナジードリンクとスポーツドリンクの違いを教えることが重要だとしている。

 ハノン氏は、保護者も定期健診などの際に、子供が普段どのような飲み物を摂取しているのか、小児科医と話し合うよう勧めている。

 息子を亡くしたショーン氏は、自分たち家族の経験を知ることが、ほかの子供を守ることにつながってほしいと願っている。

 「私たちの体験や悲しみを、親たちが自分の子供と話すきっかけにしてくれることを願っています」

※この記事はAP通信の記事を抄訳したものです。

By LAURA UNGAR AP Medical Writer

Text by AP