長寿はどこまで遺伝するのか 親が100歳まで生きた人を3研究で分析

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 両親のうち少なくとも一方が100歳まで生きた人は、両親がそれより若くして亡くなった人と比べて長生きし、特定の加齢関連疾患のリスクも低くなることが研究で示された。長寿をめぐっては、近年、従来考えられていた以上に遺伝的影響が大きい可能性も指摘されている。

◆3つの研究を統合 長寿者の子孫を調査
 この研究は、アメリカ医師会が発行する国際的な学術雑誌「JAMA Network Open」に掲載されたものだ。目的は、100歳以上生きた人の子供たちに、死亡や加齢関連疾患のリスク低下や発症の遅れがみられるのか、さらにそれが異なる集団でも一貫して確認できるのかを調べることだった。

 研究者らは、地理的に多様な3つの長期追跡調査のデータを利用し、親の少なくとも一方が100歳以上まで生きた成人2319人を、親がそれより短命だった人などからなる対照群と比較した。イギリスの大規模研究「UK Biobank」では、992人ずつの異なる2つの対照群を用いて、結果の頑健性も検証した。

 利用した3つの研究は独立して情報を収集していたが、今回の研究チームは可能な限り分析方法を統一した。これにより、死亡や加齢関連疾患との関連性が、異なる集団間でも一貫して現れるかどうかを調べることができた。

◆親のおかげ? 死亡や疾病リスク低下
 分析の結果、100歳以上生きた親を持つ人々は、親の寿命がそれより短い人々よりも死亡リスクが42%低かった。心血管疾患のリスクは33%低く、高血圧のリスクは32%低かった。一方、がんの発症リスク低下に関しては、関連は見られなかった。

 さらに、これらの差が現れる時期についても興味深い結果が得られた。100歳以上生きた親を持つ子孫では、死亡時期が約3年、高血圧の発症時期が約5年遅れると推定された。喫煙や飲酒、運動、食事、教育、社会経済的地位など、各研究で利用可能な要因を調整した後も、こうした傾向はおおむね維持された。この知見は、特定の家族に異例の長寿が見られる理由を、共通の健康行動や社会的状況だけでは完全に説明できない可能性を示唆している。

◆長寿遺伝子はなくても…… 特定の遺伝子が影響か?
 タフツ医療センター定量的手法・データサイエンスセンターの所長で、この研究の共著者であるパオラ・セバスティアーニ氏は、今回得られた知見は100歳以上生きた親を持つ人に長寿や病気にならずに生きることを保証するものではないとしつつも、一部の人が親の持つ健康上の優位性を共有していることを示していると述べた(ワシントン・ポスト紙、以下WP)。

 長寿に対する遺伝の影響は、従来考えられていたより大きい可能性がある。1月にサイエンス誌に掲載された研究では、従来の双生児研究で寿命の遺伝率は20〜25%程度と推定されてきたが、事故や感染症などによる外因死の影響を補正すると、こうした外因による死亡を除いた「内因的な寿命」の遺伝率は50%を超えると推定された。

 アラバマ大学バーミンガム校で健康長寿研究を行うスティーブン・オースタッド特別教授は、100歳まで生きるような極端な長寿には「何らかの特別な遺伝子」が必要だとの見方を示している。また、単一の遺伝子ではなく、わずかな効果を持つ十数個の遺伝子が組み合わさり、大きな違いをもたらす可能性があると述べた。(WP)

 米国立老化研究所の上級研究員、ルイジ・フェルッチ氏は、単一の「長寿遺伝子」の存在は現在支持されていないと述べたうえで、今回の研究結果は、並外れた長寿のメカニズムが特定の加齢疾患に対して強力に保護作用を発揮している可能性を示唆するものだとしている(WP)。

Text by 山川 真智子